ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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○住戸規格のミスマッチ解消国家公務員宿舎については、世帯の職員数の減少や単身赴任及び独身の職員数の増加などにより、現状、独身用や単身用宿舎が不足している一方、世帯用宿舎には余剰が生じている傾向が見られており、住戸規格のミスマッチが生じている。こうした住戸規格のミスマッチの解消に向けて、宿舎整備などのハード面での対応のみでは、限られた予算の中で、ミスマッチの解消まで長い期間を要することから、以下のとおり、ハード・ソフトの両面から対応を行う。(i)ハード面での対応恒常的に住戸規格のミスマッチが生じている地域においては、規格別の需要を精査し、新たな宿舎を確保する際や、既存宿舎の模様替する際などに併せて対応を行う。なお、老朽化が著しいために、模様替に併せて大規模改修が必要となり、多額の費用がかかる場合などには、コスト比較を行った上で、必要な場合には借受に移行する。(ii)ソフト面での対応現在、国家公務員宿舎においては、単身用・独身用宿舎の不足から、やむを得ず、多くの単身・独身の職員が世帯用宿舎に入居していることから、係員クラスの若年層に対して以下の対応を行うことで、既存宿舎の有効活用の促進を図る。・ 独身用宿舎の貸与を希望する独身職員がいるものの、独身用の宿舎が不足している場合には、若年層の独身者に対して、独身用の宿舎を優先して貸与し、それ以外の独身者には単身用や世帯用の宿舎を貸与する。・ 住戸規格のミスマッチに起因して、独身用の宿舎の貸与を希望しているにも関わらず、貸与が受けられず、単身用や世帯用の宿舎の貸与を受けている独身者のうち若年層の独身者について、宿舎使用料を減額する。・ 住戸規格のミスマッチに起因して、職務の級に相当する広さの世帯用の宿舎の貸与が受けられない若年層の職員世帯については、より広い規格の世帯用の未入居宿舎を貸与する。○老朽化への対応宿舎の維持管理に関しては、政府の方針を踏まえ長寿命化に取り組むこととしているが、厳しい財政事情の下、必要最小限の修繕に留まっている。他方で、宿舎削減計画に沿って、老朽化した宿舎を中心に廃止を進めた結果、現在、築50年を経過するような老朽化が著しい宿舎は約2,000戸となっているが、10年後には、約12,000戸に増加する見込みとなっている。こうした点を踏まえれば、現状の改修・修繕方法のままでは将来的に使用可能戸数が減少すると見込まれるため、個々の宿舎の状況に応じたメリハリのある予算配分を行うなど、計画的かつ効率的な改修などを進めていく必要がある。これまで建築年次に応じて改修を行ってきたところであるが、建築年次だけでなく、耐震性を踏まえた老朽度、庁舎までの距離やBCP対応を踏まえた立地条件、中長期的な需要など、個々の宿舎の状況に応じて予算配分を行うことで、計画的かつ効率的に改修を進め、必要な宿舎を確保していくことが重要である。このため、以下のような取組みを進め、個々の宿舎の状況に応じて長寿命化を図りつつ、必要に応じてコスト比較の上、借受移行や建替等を行うことにより、必要な宿舎の確保を進めていく。・ 改修予算配分の優先付けまず、初めに改修予算配分の優先付けを行う。改修予算配分の優先付けにあたっては、従来の建築年次に加え、老朽度、立地条件や需要など個々の宿舎の状況に応じて、重点的に改修を行う宿舎の選定を行う。・ 優先順位が高いと判断されたものの長期使用の可否判定改修予算を優先的に配分すべきと判断された宿舎の長寿命化を図るためには、大規模改修工事を行うことになるが、工事に先立ち、躯体の健全性を調査するなど長期使用の可否を判定した上で、着工の可否を検討する。その上で、長期使用できないと判定された場合には、大規模改修は行わず、応急的な修繕により使用を継続した後、借受又は建替を行う。・ 優先順位が低いと判断されたものの維持管理継続の合理性の判断20 ファイナンス 2019 Aug.SPOT

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