ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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(ii)権利床の活用中央官衙地区及びその周辺においては、様々な行政需要から庁舎が不足しており、多数の官署が民間施設を借受けている状況となっている。その一方で、宿舎跡地等の未利用国有地が市街地再開発事業に取り込まれた結果、国が再開発建物の一部(権利床)を取得するケースも出てきている。このような状況を踏まえ、中央官衙地区及びその周辺をはじめとして庁舎が不足している地域において一定規模の権利床の取得が見込まれる場合には、庁舎需要や経済合理性等を勘案した上で、新たに取得する権利床を庁舎として活用を図ることとする。ウ.国家公務員宿舎に関する今後の対応国家公務員宿舎については、平成23年12月に策定された宿舎削減計画において、宿舎は真に公務のために必要なものに限定され、当時の設置戸数である約21.8万戸から、各省庁の必要戸数の約16.3万戸まで、約5.6万戸(25.5%)の削減を行うこととされた。その後、同計画に沿って順次削減を進め、平成28年度末までに、約5.6万戸を削減(住宅数では10,684住宅のうち5,244住宅を廃止)したほか、跡地の売却により計画上の概算額(約1,700億円)を大きく上回る約2,939億円(うち復興財源として約2,390億円)の財源を捻出し、計画を達成したところである。今後は、宿舎削減計画達成後の宿舎需要の変化等を見極めつつ、以下の方向性で検討を進めていく。○地域ごとの需給のミスマッチ解消(i)地域単位での必要戸数の把握及び計画的・段階的な対応国家公務員宿舎の足元の必要戸数について、全体として見れば、宿舎削減計画後の宿舎戸数である16.3万戸程度の需要が確認されている。他方で、宿舎削減計画における廃止宿舎の選定が主に老朽化や売却収入確保等の観点から行われたことや、近年の行政需要の変化に伴い宿舎需要が変化していることなどにより、現状、宿舎が不足している地域が見られる一方、未入居が増加している地域も見られる。このように、地域ごとにみると、人事異動に伴う入退去等の摩擦的要因を超えて、宿舎の需要と供給にミスマッチが生じていると見込まれており、こうしたミスマッチを解消するために、地域単位で宿舎の必要戸数を的確に把握した上で、今後、計画的・段階的に以下の対応を行う。・ 趨勢的に宿舎が供給過多となっている地域においては、宿舎の老朽度、入居状況やBCP(業務継続計画)対応等の立地条件等を勘案し、残すべき宿舎を見極めた上で、需要を超え余剰となる宿舎について廃止を進める。(資料3)耐震性能に着目した入替調整のイメージ◎監査結果等により、庁舎の耐震性能と入居官署の必要耐震性能にミスマッチが確認されたとしても、入替調整に必要な余剰スペースが生じている場合に使用調整等を実施。◎入替調整に必要な余剰スペースが生じていない場合でも、1.Ⅱ類官署とⅢ類官署の入替調整による対応2.耐震改修による対応について、コスト比較等を行い、1.による対応が適当と判断される場合は、入替調整を実施。321庁舎の耐震性能と入居官署の必要耐震性能にミスマッチ入替調整を検討一部官署の耐震性能が不足今後考えられる対応例これまでの対応例Ⅲ類庁舎D官署(Ⅲ類)E官署(Ⅲ類)F官署(Ⅱ類)Ⅱ類庁舎A官署(Ⅱ類)B官署(Ⅱ類)C官署(Ⅲ類)Ⅰ類庁舎A官署(Ⅰ類)B官署(Ⅰ類)余剰スペースⅡ類庁舎D官署(Ⅱ類)E官署(Ⅰ類)F官署(Ⅱ類)Ⅲ類庁舎G官署(Ⅱ類)H官署(Ⅲ類)I官署(Ⅲ類)借受庁舎J官署(Ⅲ類)※一方の官署が一時的 に仮庁舎へ移転18 ファイナンス 2019 Aug.SPOT

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