ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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(iii)利用方針において公共随契の対象施設の整備を含まない場合は、a 地域で民間収益施設の利活用の意見があるときには、意見に沿った条件を設定し、事業用定期借地権(10年以上30年以内)による貸付の二段階一般競争入札を実施する。b 地域で利活用の意見がないときには、通常の公的な取得等要望の受付を実施し、要望があれば随意契約を行い、要望がなければ、基本的に利用用途の制限を設けず、事業遂行能力等に限った条件設定の下、事業用定期借地権(10年以上30年以内)による貸付の二段階一般競争入札を実施する。○ 定期借地権による貸付における事業の適正な運営の確保これまで、定期借地権による貸付については、地方公共団体が実施主体又は許認可主体となる介護・保育等の事業に限られていたため、事業の必要性や利用計画の妥当性等について、地方公共団体からの回答内容を財務局が確認した上で、事業の実現可能性について、財務局が事業者の財務状況等を確認してきた。他方で、今後、留保財産を中心として上述のような形で定期借地権による貸付を行う場合、地方公共団体の許認可や監督を受けない一般の民間事業法人が入札参加者や事業者となることが想定されるほか、事業の進捗状況によっては抵当権等の物権が付着するおそれもある。こうしたことにより、国が最終的な更地返還も含めて契約終了までの長期にわたるリスクを負うこととなることを踏まえ、今までよりも、貸付相手方における事業の適正な運営を確保する必要がある。このため、定期借地権による貸付にあたっては、二段階一般競争入札の枠組みの中で、まず、土地の利用計画に加え、事業者の事業遂行能力について深度ある審査を行っていく。また、契約期間中のモニタリング等については、問題が判明した場合の対処も含め、その実施方法をさらに充実させていく。具体的には、契約期間中の資料提出や実地調査への協力、事業継続が困難となった場合の解除等について契約に規定した上で、定期的にモニタリングを行い、事業継続が阻害される可能性が見受けられる場合には、協議を行い事業の改善を求めることが考えられる。(資料2)利用方針策定後の管理処分のプロセス(フローチャート)利用方針の検討公的な要望の受付(3ヵ月)民間のニーズ調査地方公共団体との議論※必要に応じて協議会を設置定期借地権による貸付を前提とした最適利用を図るための利用方針を決定十分な期間随意契約による利活用の意見あり競争入札による利活用の意見あり審査委員会の設置条件設定(※)【事業用定期借地権による貸付】(10年~30年以内)競争入札による利活用の意見があった場合と同様に、二段階一般競争入札により対応(1)地域から民間収益施設(スーパーや物流倉庫等)のみの整備による利活用の意見がある場合には、意見に応じた条件を設定する(2)地域から利活用の意見がなかった場合には入札にあたって活用用途の条件設定はしない企画提案書 受付審査通過者の決定価格競争入札落札者の決定企画提案書 審査第2段階第1段階(※)土地の有効利用を促すための条件を審査委員会及び地元地方公共団体の意見を聴取しながら設定。入札公告財務局等による審査定借の相手方の決定随意契約締結見積り合せ要望なし要望あり利活用の意見なし民間収益施設のみの利活用の意見あり公的な利活用の意見なし14 ファイナンス 2019 Aug.SPOT

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