ファイナンス 2019年8月号 Vol.55 No.5
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C. 将来を見据えた管理の効率化(Efciency)人口減少と少子高齢化が進む中で、売却できず国が保有し続けることとなる財産が増加することも想定されるため、このような国有財産に関する今後の状況変化も見据え、国が保有する財産については、今まで以上に管理コストの低減を図りつつ効率的に管理を行うことも重要となってくる。今後の国有財産行政としては、上記答申の内容を踏まえ、将来世代にも裨益する管理処分の多様化、将来に続く行政インフラの強靭化、将来を見据えた管理の効率化といった多面的な視点から、個々の国有財産の状況を踏まえて、最も適切な手法を選択し管理処分を進め、国有財産の「最適利用」を追求していくこととする。国有財産行政としては、平成18年以来、約13年ぶりの大きな改革となる。その具体的な内容を、以下(1)(2)において説明する。(1)普通財産の管理処分ア.国有財産の更なる有効活用国有財産の最近の状況を見ると、未利用国有地のストックが減少する中で、地域によって濃淡はあるものの国有財産の希少性が高まっている状況にある(資料1)。このため、今ある国有財産を現在世代のみのために費消し尽くすのではなく、将来の地域・社会のニーズに備えるため、地域に一定程度の国有財産を確保しておくことが必要である。また、介護や保育などの分野で国有財産の有効活用を進めてきているが、人口減少・少子高齢化などに伴う地域・社会のニーズの変化・多様化に対応していくためには、将来世代への裨益も念頭に置きながら、これまで以上に多様な形で国有財産の有効活用を図ることも重要である。○留保財産の選定有用性が高く希少な国有地については、一度売却してしまえば、将来、新たな行政需要が生じても、これに用いるために再度取得することが困難である。このような国有地は、将来世代における行政需要に備えつつ地域のニーズに対応するため、国が所有権を留保し、売却せずに定期借地権による貸付を行うことで、最適利用を図っていく。国が所有権を留保し、将来世代に残しておくべき、有用性が高く希少な土地(以下、「留保財産」という。)(資料1)未利用国有地のストックの推移(財務省一般会計)6996866731,8482,3532,0551,5691,5101,3341,4841,6692,4732,4962,3613,2313,2651,4861,3231,42214,35411,37011,6118,8165,0582,6811,2721,1041,3201,5211,1719299971,1828787551,3641,1436103,0552,4262,0541,9121,7451,5871,1921,0079991,0329481,2881,3071,3241,3471,5931,7071,7671,59318,10814,48414,33812,5789,1576,3244,0343,6223,6554,0383,7894,6904,8004,8685,4575,6134,5584,2343,62614,90115,64215,85915,15710,9967,6685,7074,8304,4034,1053,8163,5403,6283,4023,1863,2843,8733,4633,12502,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00016,00018,00002,0004,0006,0008,00010,00012,00014,00016,00018,00020,000H29H28H27H26H25H24H23H22H21H20H19H18H17H16H15H14H13H12H11(件)台帳価格(億円)地方公共団体等での利用が予定されている財産一般競争入札により処分する予定の財産土地区画整理事業等の施行区域内に所在、境界確定等が必要といった特殊事情を有する財産年度末ストック件数12 ファイナンス 2019 Aug.SPOT

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