ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
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「外国貿易都市の地域おこし」小松島税関支署 支署長卜部 伸二1はじめに小松島税関支署は、徳島県小松島市に戦後混乱期の密貿易増加に対処するため昭和21年6月に神戸税関本関直轄の「小松島監視署」として設置されたのが始まりで、昭和23年1月1日の徳島県で初めてとなる小松島港の開港(外国貿易のために開放された港)指定に先立って、昭和22年5月1日に支署に昇格し現在に至っており、徳島県全域を管轄しています。県内には、「徳島小松島港(昭和63年に小松島港の開港港域が拡張)」(徳島市・小松島市)と「橘港」(阿南市)の二港が開港指定されており、昨年の外国貿易船入港隻数は両港合わせて348隻でした。通関ベースの貿易額は、輸出は約111億円で6年ぶりに百億円台を回復し、輸入は約1,302億円で平成20年に次ぐ過去2番目の額となっています。主な貨物は、輸出は有機や無機の化学製品や紙類、輸入は石炭や非鉄金属鉱です。なお、輸入額が輸出額の約12倍と開港以来輸入偏重の状況が続いています。2徳島県徳島県は四国の東部に位置し、東は紀伊水道、西は愛媛県、南は高知県、北は香川県に接しており(一言でいえば日本地図上、四国の右側です。)、古より関西圏とのつながりが深く「関西広域連合」の構成団体となっています。人口は約73万人、面積は4,146km2。その約8割が山地で、吉野川をはじめとする多くの河川が流れており豊かな自然環境に恵まれていますが、少子高齢化等により人口が減少傾向にあります。そのような状況のなか県内に人を呼び込み、地域に活気を取り戻そうと、外国人旅行者の誘致(近年、国際大型クルーズ船や徳島阿波おどり空港への国際季節定期機等の入港が増加しています。)や観光資源の掘り起こしによる様々な地域おこしに取組んでいます。本稿では、開港を有する2つの市における、個性的な地域おこしの取組みを紹介します。3小松島市 ~たぬきのまち~支署が所在する小松島市は人口約3万8千人、県東部紀伊水道沿岸のほぼ中央に位置する、定期コンテナ船や大型クルーズ船等が入港する国際港湾都市で、徳島県の貿易拠点となっています。また漁業も盛んで、全国有数の漁獲高を誇る市推励の魚の「鱧はも」や小松島市が発祥の地と言われる白身魚のすり身にカレー粉等のスパイスで味付けしパン粉をまぶして揚げた安くて美味しい庶民の味方「フィッシュカツ」や「竹ちくわ」等の水産加工品が有名です。【小松島港全景】徳島県66 ファイナンス 2019 Jul.連載各地の話題

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