ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
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たときには近くの観客と一緒に抱き合いながら喜び合えました。1つ、周りの声援を聞いていて興味深いと感じたことがありました。私は、南米のサッカーに対して「ずる賢い」というイメージを持っており(主人公がアルゼンチンにサッカー留学する『俺達のフィールド(作:村枝賢一)』という漫画を読んだ影響かもしれません)、実際、前回ワールド・カップでもブラジルのネイマール選手がファールを受けた際のリアクションが過剰だとして批判されたこともあったように思います。しかし、リーベル・プレートのサポーターはそれを良しとはせず、軽い接触で倒れる自チームの選手に対して「Levantate!(立て!)」と怒号を飛ばします。相手がブラジルのチームということで相対的にそういう構図になったのか、真相は私には分かりませんが、この南米ナンバーワンになったリーベル・プレートは、「走る」チームでもあり、最後まで集中を切らさないその姿に、私が(勝手ながら)持っていた南米のイメージは覆されました。参考までに、リーベル・プレートやフランスのモナコ、パリ・サンジェルマンでも活躍し元アルゼンチン代表でもあるマルセロ・ガジャルド氏が監督に就任して以降リーベル・プレートは全盛期を迎えており、同氏は将来のアルゼンチン代表監督との声もあるようです。4 アルゼンチン野球事情アルゼンチンで野球ができるとは考えてもいませんでした。メッシ選手などアルゼンチン代表も練習を行うエセイサ国際空港近くのアルゼンチンサッカー協会の練習場に隣接する形で、立派な天然芝の野球グランドがあります。ここ以外にもブエノスアイレス市内から車で行くことができる範囲にいくつもグランドがあり、シーズン中は毎週試合が行われています。残念ながらプロリーグはなく、競技レベルは日本に比べると落ちてしまうかもしれませんが、私が参加している1956年設立のLMB(Liga Metropolitana de Béisbol)というリーグはブエノスアイレス首都圏近郊の約20チームで3部構成されており、それなりの競技人口が存在します。アルゼンチンならではの興味深い点として、中南米各国の移民の方々がチームを作っていることが挙げられます。私が所属しているチームは日系人を主な構成員とするチームですが、その他にも、キューバ、ベネズエラ、ドミニカ共和国など中南米各国の移民の方々からなるチーム等が存在し、国際色豊かな野球体験が可能です。ちなみに、バットは木製、球は硬球であり、運動不足の身には少しつらいものがあります。野球道具については、一応アルゼンチンにも国産のバットはあるものの、それ以外の道具を国内で調達するのは難しいです。私的に行った米国のマイアミ旅行で購入したバットがすぐに折れたときは絶句しました。野球以日亜学院野球チームの集合写真チームメイトの別荘でのアサード(焼肉)同別荘でのキャッチボール62 ファイナンス 2019 Jul.連載海外 ウォッチャー

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