ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
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はじめに本年5月、平成から令和への改元が行われた。時代の節目を迎えるにあたって、「平成を振り返る特集」が様々なジャンル・媒体で取り上げられたが、本稿では、データを通じて経済・社会構造の変化を振り返ることとしたい。なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織の見解ではない。1経済構造の変化 ―貿易立国から投資立国へ―まずは、マクロ経済面での変化について、簡潔に数字とグラフを参照しつつ振り返る。図1で景気動向指数の推移をみれば、日本経済が如何に度重なる経済危機による落ち込みまた回復というサイクルを繰り返してきたかを見て取れる。長期停滞の引き金となったバブル崩壊により、企業倒産件数は急増、金融機関の不良債権問題へと発展した。企業倒産件数は平成13年(2001年)に19,565件とピークをつけ、同年都市銀行の不良債権比率も8.7%と突出した状況となったが、2000年代前半、不良債権処理は着実に進められた。(平成20年(2008年)には全国の銀行の不良債権処分損が100兆円を超えた。)不良債権処理が進むにつれて、金融システムは安定化し、日本経済全体としても失われた10年から回復するかと期待された。実際に景気動向指数は上昇、内閣府も73か月の景気拡張期間を認定した。しかしながら、企業収益は大きくは上昇せず、賃金も上がらない状態が長く続くこととなった。リーマンショックを経て、平成24年(2012年)末頃からようやく景気は回復、企業収益も大きく改善平成を振り返る[前編]大臣官房総合政策課 前企画室長 原田 浩気/係長 道上 友里香(図1)景気動向指数(CI)6070809010011012013089909192939495969798990001020304050607080910111213141516171819(H27年=100)(年)H5/10谷H9/5山H11/1谷H12/11山H3/2山H14/1谷H20/2山H21/3谷H24/3山H24/11谷か月~か月~か月~現在第11循環第12循環第13循環第14循環第15循環バブル経済アジア通貨危機ITバブル崩壊崩壊グローバル金融危機欧州債務危機元(出所)内閣府「景気動向指数」 ファイナンス 2019 Jul.31SPOT

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