ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
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4宿泊(スイートルーム争奪戦)福岡で大規模な国際会議を実施する際の最も大きなチャレンジの一つとして、スイートルームのあるホテルの少なさが指摘されます。今回のG20福岡においては、財務大臣・中央銀行総裁・国際機関の長を合わせると全部で60名近いVIPが一斉に来福することになり、そのすべてに対してホスト国として日本がスイートルームを準備する必要があります。そもそも昨今のインバウンド需要の増大に伴ってホテルの客室供給が不足がちな福岡において、スイートルームを含めて、1000室に近い代表団向けの客室を確保することは決して簡単ではありませんでした。調整は会議の1年近く前から始まり、各国大使館を通じた必要客室数のアンケートに基づき、ホテルの客室を各国に配分していきました。調整の結果、会場にもなったヒルトン福岡シーホークを含む、福岡を代表する6つのホテルに代表団が分宿することとなりました*6。代表団によっては様々な注文がつけられることもありましたが、ご協力いただいたホテルのスタッフの皆様には最大限柔軟に対応いただき、本当に助かりました。5空港・輸送(コンパクトシティ福岡の面目躍如)VIPだけでなく、今回の会議のために来福するほとんどの代表団にとって玄関口になったのが福岡空港です。こういった会議の際の慣例として、招かれたVIPたちに対して通常求められる入国のための手続きの簡*6) ヒルトン福岡シーホークのほか、グランドハイアット福岡、ホテルオークラ福岡、ホテルニューオータニ博多、ホテル日航福岡、西鉄グランドホテル。略化や省略が認められます。手続きの中には、法務省による入管手続き、税関による通関手続き等、様々な省庁の所管する手続きが含まれ、全てを切れ目なく円滑に行うために、半年以上前から入念に事前調整を行いました。ただでさえインバウンド需要の増大からキャパシティオーバー気味な福岡空港ですが、今回の会議のために大変なご協力を頂きました。代表団のフライトスケジュールは直前までなかなか判明しないことが多いためご迷惑をおかけしましたが、お陰様で大きなトラブルなくスムーズに各国要人を受け入れ・お見送りすることができました。各国の大臣・総裁・国際機関の長に対しては、これも過去の慣例に従い、議長国から移動用の車両とドライバーを提供し、滞在中の移動をサポートしました。今回の国際会議においては、いかんせん要人の数が多いため、会議期間中は60近い車両の動きを輸送本部で適切に管理する必要がありましたが、福岡県警をはじめとする地元の皆様のご協力による交通規制の効果夕食会の様子26 ファイナンス 2019 Jul.SPOT

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