ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
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3文化プログラム・夕食会(三本の矢の行く先は??)こういった国際会議の場では、各国からの参加者に対して、ホスト国が趣向を凝らした文化イベントを提供することが慣例になっています。例えば、昨年ホスト国であったアルゼンチンは同国で人気のスポーツであるポロの観戦ツアーを組んだり、ディナーとして同国特産のステーキをバーベキューで振舞ったりして、大変好評を博しました。ギリギリの交渉が行われる会議場からしばし離れ、リラックスしたムードをいかに演出するかはホスト国としての腕の見せ所であり、我々準備室が昨年4月に設立してからの当初最大の検討事項は、何を文化イベントとするかであったと言っても過言ではありません。各国からの参加者に楽しんでいただけるだけでなく、警備上の要請も満たす必要があり、様々な案が浮かんでは消えました。最終的に、アルゼンチンのポロからも着想を得た流鏑馬、及び、我が国の防災意識の高さのアピールにもなる地元福岡の消防団による伝統技術披露(木遣り、纏、梯子のぼり)を会議初日の6月8日夕刻、舞鶴公園において実施することとしました。流鏑馬は地元福岡市内の飯盛神社に、消防の伝統技術披露は福岡市にある消防団63分団すべての皆様にご披露をお願いしたほか、当日は高島市長自らにマイクを握っていただき、流鏑馬や消防技術の背景について英語でご説明いただくなど、まさにオール福岡と言うべき体制で各国の大臣・総裁たちをおもてなしました。日本文化というと、どうしても能や日本舞踊と*4) 福岡市美術館においては、G20福岡の成功を祝して、6月18日から7月15日にかけて、この夕食会で展示された金屏風の特別展が行われました。*5) 一般社団法人イマジンワンワールドによる「キモノプロジェクト」においては、世界各国をイメージした図柄の着物を制作されています。いった静かなイメージが強い中で、鎌倉時代の武士装束に身を包んだ射手が駆け抜けていく勇壮な姿は、参加者たちに強い印象を残したようで、大きな歓声が上がっていました。なお、4射行われた流鏑馬の試技については、4射中3射的中し、事務局としてもホッと胸をなでおろしたところです。文化イベントの後には、食の都福岡の魅力を最大限感じていただくため、社交夕食会を実施しました。今回の夕食会については単にレストランで行うのではなく、本年3月にちょうどリニューアルオープンした福岡市美術館を会場として、古今の福岡にゆかりのある名画に囲まれながらの夕食会という趣向を凝らしたものとしました。美術館の皆様のご協力もあり、円山応挙の作品を含む金屏風を3艘展示し、豪華絢爛な雰囲気の中の夕食会となりました*4。料理についても、ホテルニューオータニ博多、ホテル日航福岡、ホテルオークラ福岡という福岡を代表する3社のシェフに、九州・福岡の山の幸・海の幸をふんだんに使った特別メニューをご考案いただき、参加者からも称賛の声が聞かれました。夕食会の舞台となった福岡市美術館においては、福岡の高校生たちによるG20に対する提言の発表が行われたほか、着物を着た女性たちによるお出迎えも行いました*5。これら一つ一つのアトラクションについて、実現のためには大変多くの皆さんのお力添えがあり、全体として、議長国日本のおもてなしの気持ちを各国の要人たちに感じていただけたものと思います。文化イベントの様子 ファイナンス 2019 Jul.25G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議を終えて SPOT

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