ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
28/80

上げられることはありません。本稿においては、このプロジェクトの全体管理を担う立場から、ニュースには出てこない国際会議運営の裏側について、できる限り光を当ててご紹介したいと思います*2。2会場(事件は会議室で起きている!!)今回のG20福岡に際しては、マスコミ関係者を含めて、およそ2000人が来福したと言われています。この中にはVIPと呼ばれ特別な警戒を要する各国の財務大臣や中央銀行総裁数十人も含まれます。このような大規模な会議を十分な警備体制のうえで行う会場はおのずと限られてきます。今回は、十分な会議室の広さ・数が確保できること*3、周囲の交通規制を住民の皆さんへの影響を最小限に行うことができること等、様々な要素を考慮し、早くからヒルトン福岡シーホークを主会場とすることに決めました。ヒルトン福岡シーホークには、メインの会場のほか、サイドイベントとして開催されるシンポジウム会場、メイン会場の議論を中継するビューイングルーム、海外プレスを含めて300名近くが来場することとなるプレスのための作業場、大臣・総裁たちのインタビューを行うためのインタビュールーム、二国間会談のためのバイ面会室、等数多くの施設が必要となります。また同時に、これらの施設について、金属探知機などの設置により、安全を確保する必要があります。福岡県警と入念に調整を行いながら、代表団の動線をシミュレーションし、綿密な会場計画を立案しました。*2) 日本議長下におけるG20財務トラックの関連情報について、下記のホームページをご覧下さい。会議の成果物だけでなく、写真も多数アップしています。https://www.g20fukuoka2019.mof.go.jp/ja/*3) こうした国際会議の場では、二国間会談や関連シンポジウム等が併せて開催されることが通例で、メイン会場以外にも十分な数の部屋を確保する必要があります。一方で、ただ会議場の警備をガチガチに固めるだけでは、文字通り地球の反対側からわざわざ福岡までやってきていただいた代表団にとっては、味気ないものです。今回は、開催地である福岡市の全面的なご協力を得て、会議フロアに福岡の名物である山笠を展示したり、歓迎の花飾りを施したりと、日本らしい華やかな演出を行いました。また、せっかくの機会ということで、福岡を知ってもらうための情報コーナーや、東日本大震災からの復興状況をお知らせするための展示も行いました。SNSを通じた情報発信の重要性が強く認識される中で、参加者の方が「インスタ映え」する写真を撮ることができる山笠や大きな花のオブジェを飾ることができたのは、対外広報という観点からも有効だったと考えています。会場の様子24 ファイナンス 2019 Jul.SPOT

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る