ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
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1はじめに国際会議を運営するにあたって、サブ(サブスタンス)と対置される言葉として、ロジ(ロジスティクス)という言葉があります。ロジスティクスは「兵站」と訳されることがある通り、会議で中身(サブ)の議論が行われるための環境を整える役割のことを言います。サブの最終的な成果物である共同声明をまとめるためには、会議を行うための会場が必要ですし、参加者たちの宿泊施設を確保し、食事を用意すること(腹が減っては戦はできぬ)、参加者がスムーズに入国・会議場へ到着できるための足を用意すること、テロ等を防止するための警備対策を十分に敷くこと、参加者に楽しんで頂けるような息抜きのイベントを用意すること、こういったこと全てが「ロジ」と呼ばれ、国際会議を実施するにあたっては不可欠な役割となっています。本年6月8日・9日に福岡市で開催されたG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議(以下、G20福岡)は、*1) 福岡財務支局長を本部長として、計15名体制。招待国も含めると世界28か国から財務大臣・中央銀行総裁が一堂に会する、我が国財務省が主催する会議としては前代未聞の規模の国際会議となりました。このような大規模な会議を整然と実施するためのロジを担うチームとして昨年4月に発足したのが、私たちG20財務大臣・中央銀行総裁会議準備室です。チーム自体は発足当初室長以下3名、昨夏以降は8名と、決して大きなチームではありませんが、地元福岡財務支局に設置された準備本部*1をはじめ、様々な関係者とともに、1年以上に亘って入念な準備を行ってきました。一口に関係者と言っても、受け入れ自治体である福岡市、警備を担当する福岡県警、受け入れの玄関口となる空港関係者、現場での設営や運営を担う会議運営業者など、数えきれない方々がロジにはかかわっています。こういった全ての関係者のプロフェッショナリズムに支えられ、会議が成功に導かれたのです。裏方たちの努力は、まさに縁の下の力持ちであり、会議でまとめられた共同声明のように華々しくニュースに取りG20福岡財務大臣・ 中央銀行総裁会議を終えて前G20財務大臣・中央銀行総裁会議準備室 課長補佐 喜多 良寿G20福岡ロジ部隊の集合写真 ファイナンス 2019 Jul.23SPOT

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