ファイナンス 2019年7月号 Vol.55 No.4
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―今回G20福岡会合を終えてのご感想を、開催前にどんな期待感を持って臨んだかも含めてお聞かせいただけますと幸いです。日本が議長国として初めて開催するG20ということで、アジェンダの設定や議事運営においてどのように日本らしさを出せるかを、国際局や主税局、金融庁の皆さんと色々議論しました。皆さんにそれぞれ知恵を出していただいたお蔭で、初めての試みを含め様々な工夫をこらし、内容面も運営面も結果的には当初思い描いていたようなものになりました。疲労感はありつつも、「心地よい疲労感」といったところです。また、文化行事に関しては、井上補佐官を中心に準備を頂き、レセプションや流鏑馬や木遣りなどの文化行事でも日本らしさが非常に良く出ていて、各国代表者に十分に楽しんでいただけたと思います。内容面・運営面双方に渡り、日本として何をなすべきかを追求したことが功を奏し、良い結果を生んだのではないかと、自己満足に浸っています。―関連して、G20福岡での成果や意義をご教示いただきたく存じます。平時の今であるからこそ、どのようなアジェンダを設定すべきか、いろいろと悩みましたが、例えば日本がフロントランナーだと言われている高齢化の問題をG20で初めて取り上げたことは大変有意義だったと思います。高齢化のセッションでは、各国の高齢化の進捗状況に応じて大臣を3つの小グループに分け、深度のある議論をして頂くという取組を初めて行いました。結果的に中身の濃い議論が出来、その成果をコミュニケに盛りこむことが出来ました。また、グローバル・インバランスも日本が優先課題として取り上げ、1時間半にわたり、この議題をじっくり大臣方に議論して頂きました。経常収支の不均衡の問題を二国間の貿易措置だけで捉えてはいけないというメッセージをコミュニケに反映できたことは1つの成果であり、日本の貢献と言えるのではないかと思っています。また、日本の経験を踏まえたユニバーサル・ヘルス・カバレッジや、自然災害リスクファイナンスなど、細かいように見えて非常に大切な話を、G20財務大臣会合を通じて日本の見識として広めることが出来たという意味で、結果を出せたのではないかと思います。―G20加盟国の1カ国として参加することと、議長国としてG20を運営することとは異なるものかと思いますが、G20を議長国として進める上で苦労したことはありますか。議長国の一番の責務は時宜にかなった、かつ意味のある議題設定と、バランスのとれた議論への誘導です。かなり早い段階から各国の反応を見ながらアジェンダの設定を行いました。INTERVIEWG20福岡の 全体総括と今後Former Vice Minister of Finance for International AffairsMASATSUGU ASAKAWA浅川 雅嗣 前財務官 ファイナンス 2019 Jul.9SPOT

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