ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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各地の話題合同庁舎予定地を 活用した復興支援東北財務局福島財務事務所 管財課長根本 浩之1はじめに平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北3県を中心に大きな被害をもたらすとともに、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故を引き起こしました。放射能災害に対しては、福島市においても、一日も早く市民の不安を解消するため、市が主体となって市内全域で放射性物質を除去する(除染)こととし、住宅、生活圏森林、道路、農地などの面的除染を行ったところです。現在は、除染土壌を沿岸部にある中間貯蔵施設へ移送している段階であり、次のステップへ向けての作業が続いております。本欄では、福島市内に所在する地方合同庁舎の建設予定地を、復興支援のために活用するとともに、その後の計画変更により、地域と連携した庁舎整備を進めている事例をご紹介します。2当初計画の概要福島第2地方合同庁舎は、当初、平成21年度特定国有財産整備計画により決定されました。概要は以下のとおりです。・庁舎名福島第2地方合同庁舎・所 在福島市狐塚・土地数量約4,900m2・建物数量延6,819m2・事業期間平成21年度~平成24年度・入居官署福島地方気象台、福島財務事務所、福島労働局、自衛隊福島地方協力本部、東北公安調査局福島駐在官室写真1 除染土壌仮置場の状況3計画変更の経緯上記計画は平成21年度の計画決定後、出先機関改革等を理由に事業が中断されていましたが、平成23年3月に東日本大震災が発生し、その後、福島市から除染作業に伴う廃棄物の仮置場としての利用要望を受け、平成25年8月以降、建設予定地を無償貸付しています。福島市が本地を除染土壌の仮置場として要望した理由は、(1)本地には「旧福島少年鑑別所」で設置されたコンクリート造の囲障があり、その高さが約2mと高く、一定の遮蔽性が確保されること、(2)本地の背後には「信夫山」があるなど、一般住宅から離れた地域に位置していること、(3)住民の不安を一刻も早く解消する必要があったこと、によるものなどです。これにより、それまで各家庭の庭等に一時的に保管していた除染土壌は、中間貯蔵施設へ移送する前に、本地「仮置場」に約17,000m3の土量が集約されることとなりました。また、中断されていた地方合同庁舎整備について福島 ファイナンス 2019 Jun.57連載各地の話題

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