ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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郭政良味仙 東京ニュー新橋ビル店【新橋】ついに新橋に凱旋! 名古屋のご当地麺「台湾ラーメン」の魅力を堪能あれ霞が関・永田町・虎ノ門界隈にお勤めの皆様方にとってはお馴染みの存在である「東京ニュー新橋ビル」。同ビルは、竣工(1971年)から約半世紀を数える新橋駅のランドマーク的存在。昭和の残滓が色濃く漂う飲食店、マッサージ店、商店等が所狭しと立ち並ぶ中高年サラリーマンの「聖地」であり、個人的には、有楽町駅前の「東京交通会館」と双璧を成すカオティックな商業施設ではないかと考えている。今回ご紹介する『郭政良味仙東京ニュー新橋ビル店』は、本年3月1日、そんな混沌とした空間に突如として出現した「台湾ラーメン」の専門店。と、ここで「台湾ラーメン」について簡単に説明しておきたい。同ラーメンは、台湾ではなく愛知県名古屋市発祥のご当地ラーメン。名古屋市今池の中華料理店『味み仙せん』において、同店の創業者である台湾出身の郭明優氏(5兄弟の長男)が、故郷・台湾の担仔麺を基に独自に開発した辛系ラーメンが「台湾ラーメン」の元祖だ。スープに辛い味付けを施したのは、辛みを愛する人が多いという名古屋の土地柄を慮ったもの。ちなみに、同ラーメンが開発されたのは1971年で、1980年代に名古屋市を中心にブレイク。今では、同市内の多くの飲食店で提供される定番メニューのひとつにまで成長を遂げている。以上、説明終了。『郭政良味仙』は、そんな郭一族の末弟(三男)が経営する店舗。もちろん、同店が提供する「台湾ラーメン」は、紛れもなく元祖直伝の1杯だ。さて、同店が提供する料理は、麺類以外も含めれば48種類。一品料理も多数用意しており「飲み」目的での利用も可能だが、何を差し置いても召し上がっていただきたいのは、不動の看板メニューとして君臨する「台湾ラーメン」。丼こそ、本場のスタイルを踏襲した小ぶりなものだが、味はワイルドそのもの。骨太な辛みが身体中から大量の汗を噴き出させるスープは、タレの甘みと香辛料の辛み&うま味とが、舌上で絶妙な塩梅でクロスオーバー。食べ手のレンゲを持つ手を止めさせない。トッピングは、唐辛子とニンニクをビシッと利かせた「台湾ミンチ」と、鮮度の高い「ニラ」。とりわけ、噛み締める度に味蕾に沁み入る「台湾ミンチ」の奥深いうま味は、台湾ラーメンのイロハを知り尽くした『味仙』だからこそ成せる業だ。同店は、ノーマルバージョンの「台湾ラーメン」のほか、辛みを抑えた「アメリカン」、激辛仕様の「イタリアン」、サッパリとした食べ口が印象深い「台湾ラーメン塩(通称・塩台湾)」など、食べ手の嗜好(辛み耐性)に応じた幅広いラインナップを取り揃えている。複数名で足を運び別メニューを注文し、食べ比べに興じるのも、ひとつの楽しみ方だろう。(店舗情報)住所:港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル1F電話番号:03-6206-6727営業時間:11:00~23:00(LO)定休日:第2日曜、年末年始プロフィールラーメン探究家 かずあっきぃ(田中 一明)1972年11月生まれ。学生時代に出逢った1杯のラーメンに感銘を受け、1995年より本格的な食べ歩きに着手。「ラーメンの魅力の探究」をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンをコンスタントに実食。総食杯数は12,000杯を超える。日本全国のラーメン事情に通暁し、各種媒体にラーメン情報を精力的に発信。56 ファイナンス 2019 Jun.かずあっきぃのラーメン探訪記連載ラーメン 探訪記

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