ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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は、EBRDが早期に卒業の議論を強く進めるべきと改めて主張した。今回の総務決議案は、最終的に賛成多数で可決され、EBRDの資本を活用するオプションについては、来年のロンドン年次総会での最終決定に向けて、今後一年かけて分析・検討を行うこととなった。(参考)うえの財務副大臣の総務演説の全文は、以下のURLに掲載。https://www.mof.go.jp/international_policy/mdbs/ebrd/2019st.htm3終わりに来年のロンドン年次総会、並びに、本年次総会に向けての一年は、今後のEBRDの方向性を決める重要な期間となる。日本は、EBRDにおける第2位の出資国として、EBRDが今後もその使命を最大限に達成できる機関であり続けられるよう、積極的に貢献していく必要があると感じている。とりわけ、2016年3月に東京に開設されたEBRD代表事務所を通じて、日本の技術・知見をEBRDの支援に一層活用したいと考えている。同代表事務所は、開設以来、日本の企業関係者等を対象としたビジネス開発や日本国内におけるEBRDの知名度向上に向けたアウトリーチ、リクルートミッションへのサポートなどにおいて大きな貢献をしている。EBRDに関心を持たれた方には、ぜひ同事務所の活動内容等もご覧いただきたい。(EBRD東京代表事務所の公式Facebookページはこちら。https://ja-jp.facebook.com/EBRDTokyo/)最後に、今次総会が開催されたサラエボ市について触れておく。サラエボ市はまさに東洋と西洋の文化が交差する場所であり、街の至るところでその多文化・民族の多様性を目にする機会があった。サラエボ市の中心には、東西文化の交差地点とも言うべき境界線(Meeting of Cultures)があり、見る角度によって街並みがガラッと変わってしまうような、興味深い場所だった。ボスニア・ヘルツェゴビナと聞くと、1990年代前半の紛争が最初に頭に浮かぶため、暗いイメージを持ちがちだが、実際には多様性に富んだ豊かな文化を持つ魅力的な国と思われた。サラエボ市内のショップ店員、ホテル従業員、タクシー運転手等から話を聞くと、EBRDは現地では非常によく知られた存在であり、その支援に感謝しているとの声も多数聞かれた。こうした現地の声を直接聞く機会を持ち、また現地の様子を実際に見ることができたという意味でも、EBRD年次総会がサラエボで開催されたことは大きな意義を持つと感じている。(文中、意見にわたる部分は筆者の個人的見解である。)うえの財務副大臣とチャクラバルティEBRD総裁総務会セッションで発言されるうえの財務副大臣 ファイナンス 2019 Jun.31欧州復興開発銀行第28回年次総会について SPOT

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