ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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になろうという活動をしている。情報通信技術が格段に進化したことによって、多くの方々がどんどん力を発揮してタックスペイヤーになっていただいている。○ 46年前に大変重い脳の障がいがある娘を授かったが、彼女を残して安心して死ねるためには、支えてくれる人をたくさん増やすしかないと思った。とりわけ支えることが無理と言われているような人の中から支える力のある人を生み出せれば、かなり大きな社会の転換になるという思いで活動してきた。○ 人間にとって働く誇りはすごく大切で、みんなで力を合わせてその働く誇りを世の中に発信できるようにすることこそが、究極の社会保障だと思っている。(7)増田 会長代理○ ほとんどの身近な生活分野に関する行政は地方自治体が行っており、今後医療・介護が膨れ上がる中で、地方負担も増加していく。○ 支え手の観点からは、医療・介護分野で働いている人は若い就業者が多いが、今後、首都圏の方で高齢化がこれから本格的に始まるため、ただでさえ若い人手が少ない地方からどんどん流出が加速していく可能性がある。○ 総務省の研究会では、圏域全体でマネジメントする必要があると示されている。現在の都道府県と市町村の二層制を柔軟化していくことが必要。奈良県知事が「奈良モデル」の話をしたが、必要なときは都道府県が入っていくということをこれから考えていく必要がある。(8)榊原 会長○ 我が国の財政の問題の根底にあるのは受益と負担であり、これをどのようにマッチさせていくかが、令和の財政のあり方の大きなポイント。社会保障については、本来負担が増えれば、給付の水準が高過ぎるのではないかと、そういったチェックが働くはずであるが、そうしたチェックが働かないまま給付が増えてきた。地方財政についても同じことが言える。地方債も将来世代の住民への負担の先送りであり、国からの交付税措置などによって一部の負担が全国的に賄われたりする結果、受益と負担の関係が世代を超えて、さらに地域を超えて分断されてしまっている。○ 現世代の責任として現世代が受け取る給付は自ら負担するという原則を徹底していくことがやはり重要。国民の皆様方に現状を正しくご理解いただく、自分の問題として考えていただく、そういったきっかけをつくっていくことが必要。○ ツケ回しを受ける子供や孫、あるいはひ孫たち、こういった世代の方々は自分から声を上げることはできない。回避する行動をとることができない。彼らの立場をきっちりと代弁して、先送りしないようにすることが我々の責任。(9) 参加者からの財政に関する意見とそれに対する回答第3部の後半で、会場参加者からの財政に関する意見を紹介し、榊原会長、増田会長代理から意見に対して回答があった。 ファイナンス 2019 Jun.2513年ぶり開催!「財審・地方公聴会」開催に携わって SPOT

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