ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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申入書の内容国民健康保険制度改革の加速化を図るための申入れ3府県は、平成30年度からの国民健康保険の都道府県単位化を契機として、府県内の国保保険料水準の統一の具体的道筋をいち早く付けることにより、受益と負担の関係の「見える化」を進めてきた。3府県は、3府県が進める種々の取組みこそが、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、国保の財政運営の責任主体として果たすべき役割と認識している。このような認識のもと、3府県は、以下を国に要望する。1.3府県をはじめとする都道府県内の保険料水準の統一や法定外繰入れの解消等の取組みについて、優良・先進事例として認識いただき、保険者努力支援制度の拡充の際の公費配分にその進捗を反映するなど、後押しすること。2.健康寿命の延伸に係る指標が様々であり、横比較や先進事例の把握・奨励がしにくい現状を踏まえ、信頼性が高く、毎年の動向を市町村単位で把握できる指標を検討すること。3.3府県が進める医療費適正化に向けた様々な取組みが円滑かつ実効的なものとなるよう、国としてデータの提供を含め、必要な協力を行うこと。4.市町村国保特別会計になお残る累積赤字について、府県内の保険料水準の統一の観点からは他の法定外繰入れとは別扱いすべきものであり、地域の実情を踏まえ別途その解消に向けた取組みを国として強化すること。令和元年5月13日滋賀県知事  三日月 大 造大阪府知事  吉 村 洋 文奈良県知事  荒 井 正 吾【第3部 パネルディスカッション】(1)松本 関西経済連合会会長○ 財政健全化と経済成長は我が国発展の両輪。将来世代に負担を先送りしないためにも、社会保障費の抑制など歳出面での改革を進めるとともに、歳入面についても国・地方ともに税制改革を進め、安定的な財源を確保していく必要。○ 関経連の試算では、2021年以降、足元の潜在成長率を下回る名目1%程度で経済が推移し、支出の抑制がない場合、2025年度のPBは約9兆円の赤字。2025年に消費税率を15%程度に引き上げても成長率が鈍化した場合、支出の抑制などに努めなければ、2028年度には再びPBが赤字化。○ 歳入面では、国民の理解を得ながら、15%超を視野に入れた消費税率の引上げを検討していく必要があるのではないか。国民に負担を求める以上、経済界としても相応の負担を負うべき。法人実効税率の一律の引下げ論にはピリオドを打ちつつ、研究開発や先端投資、人材育成など、経済の好循環につながる的を絞った政策に重点を置くべき。(2)西村 大阪商工会議所副会頭○ 財政再建は歳出削減と経済成長が車の両輪。歳出削減の鍵は、膨張を続ける社会保障費の抑制。○ 経済成長の観点で見ると、企業や国民が背負う社会保障負担が増えることで、我が国の成長が下押しされているのではないかと危惧。社会保障給付の重点化・効率化と応能負担の徹底など、社会保障制度改革を断行しなければならない。例えば、後期高齢者医療制度の自己負担割合の引上げや在職老齢年金制度の見直しなどを図ることが必要。全世代型社会保障制度への転換は、真に支援が必要な人へ範囲を限定するなど、一定の規律が必要。○ 同時に経済のパイの拡大を通じ税収を増やすことも重要。生産性向上や人手不足対策など供給サイドの対策を講じ、低迷する我が国潜在成長率を引き上げることも必要。とりわけ我が国の労働生産性は主要各国に比べて低く、引上げが急務。政府・行政の効率化も大事。また、社会保障の担い手を増やすため、女性や高齢者など多様な人材の活用も重要。 ファイナンス 2019 Jun.2313年ぶり開催!「財審・地方公聴会」開催に携わって SPOT

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