ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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【第1部 榊原会長による基調講演】○ (財政制度等審議会の沿革・体制・メンバー・審議の流れ等について紹介し、昨年秋の「建議」で、平成財政について厳しい総括がなされたことに触れた上で、我が国の財政事情を説明。)○ このまま何も対策をせずに高齢化が進むと、困るのは、私たちの子供、孫、あるいはひ孫の世代。令和という新しい時代、さらにはその先の時代を生きる人たちが大きな負担を強いられることになる。今の時代を生きる私たちが受益と負担のバランスを回復しなければならず、自分たちの給付は自分たちで賄う責任を果たしていくことがやはり必要ではないか。財政制度等審議会では、平成の時代の過ちを繰り返さず、将来世代の代理人になるという固い決意のもとで、令和の時代の財政の在り方を検討し、改革してまいりたい。【第2部 関西知事による改革取組事例紹介】(1)何故、国保改革を取り上げるのか(増田 会長代理)受益と負担のバランスが重要である中、国民皆保険の最後の砦である国保について、昨年4月に都道府県が財政運営の責任を負うこととなり、両者のバランスをとっていくことになった。滋賀県・奈良県・大阪府は、府県内の保険料水準の統一という、非常に分かりやすく、住民に見えやすい形で府県の責任を果たしていこうとしている。(2)「健康しが」を支える健全で安定した国保財政(三日月 滋賀県知事)ア.県内保険料水準の統一について国保改革は県内の助け合いの輪を大きくするための改革であると認識。住民の保険料負担の算定過程を「見える化」して分かりやすくすることが肝要。県全体の被保険者の負担と受益の公平化を図っていく。保険料水準統一に向けた取組みを進めているのは、この3府県に加えて、広島県であり、まだまだ少ない。国として受益と負担の「見える化」を後押ししていく必要があるのではないか。イ.法定外繰入れ等の解消について平成29年度決算補填等目的の法定外繰入れはなく、国保改革以前から国保財政の健全化が図られている。ウ.その他国保改革の取組みについて国保連合会を中心に、国保改革以前から事業の共同化が進捗。全国で唯一、平成20年特定健診の制度施行当初から県医師会と集合契約を実施し、県内どこの医療機関でも健診を受診できる体制を構築。エ.その他健康寿命は、客観的指標(介護保険の要介護認定による指標)では男性が2位、女性が3位である一方、主観的指標(国民生活基礎調査で「健康上の問題で日常生活に影響がありますか」との回答を基に算出)では、男性は16位、女性は42位であり、2つの指標の間に隔たりがある。国として保険制度にかかわらず健康づくりを考える事業展開を応援する必要があるのではないか。(3)奈良県における国保改革等の取組について(荒井 奈良県知事)ア.県内保険料水準の統一について奈良県と市町村の連携・協働の仕組みである「奈良モデル」の取組みの1つとして保険料水準の統一を提案。市町村は県と協議の上、保険料改定の方針を策定し、受益と負担の関係の「見える化」を推進。 ファイナンス 2019 Jun.2113年ぶり開催!「財審・地方公聴会」開催に携わって SPOT

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