ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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1はじめにG20大阪サミット及び関係閣僚会合に向け、財務省・税関では、大阪市咲洲地区及び関西国際空港に集中的に人員・検査機器を投入し、全国税関において、貨物等に対する審査・検査を強化するとともに、関係機関との連携を強化しているところです。こうした取組みとともに、業界団体との協力関係を強化することは、テロ対策において非常に重要です。今般、貿易関係業界との間で以前より締結していた「密輸防止に関する覚書」を拡充し、テロ対策についても連携を強化することとしました。2密輸防止に関する覚書とは「密輸防止に関する覚書」(以下「覚書」という。)とは、水際での厳格な取締りと迅速な通関の両立を実現するため、税関と業界団体の相互理解を深め、継続的な協力関係を構築することについて、双方合意の上、締結するものです。具体的には、業界側は、不審物を発見した場合の税関への通報や防犯カメラの設置等の自主警備の強化、従業員に対する密輸に関する研修の実施などを、財務省側は、密輸問題に関する啓蒙活動の支援などの協力を行います。ここで覚書の歴史について少々触れます。初めて覚書を締結したのは平成4年。財務省(平成4年当時は大蔵省)・税関においては、不正薬物の密輸防止について従来から関係団体の協力をいただいていましたが、平成3年のG7ロンドン・サミットの経済宣言において、不正薬物の密輸を防止するため、税関当局等の法執行機関と国際貿易・輸送業者の団体との協力強化が要請されたことを踏まえ、覚書の締結という形で関係団体との協力関係を強化しました。当初覚書を締結したのは、航空貨物運送協会、定期航空協会、日本船主協会、日本通関業連合会の4つの団体です。平成7年には、拳銃の密輸増加に対処するため、不正薬物を対象とした覚書の内容を拡充するとともに、外国船舶協会と覚書を締結しました。平成12年には、漁船等を利用した密輸事犯の増加に対処するため、大日本水産会と覚書を締結しました。このように税関を取り巻く情勢の変化に応じて、覚書の内容を拡充するとともに、締結団体を順次拡大し、業界団体との協力関係を強化してきました。3テロ未然防止のための官民一体 となった対策の推進そして今年。G20大阪サミット、ラグビーワールドカップ等の大規模な国際会議・イベント、更に即位礼正殿の儀等の皇室行事が開催されます。来年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。水際を守る財務省・税関にとって、非常に重要な年となります。今般、大阪サミット以降も続く一連の重要行事も見据え、水際におけるテロ対策を強化・加速化していくため、覚書の対象にテロ防止等の観点を追加し、平成31年1月26日(国際税関記念日(※))、これまで覚財務省関税局と業界団体との「密輸防止に 関する覚書」締結式及び懇談会の開催について~G20大阪サミット等の開催に向けた官民一体となった対策の促進~関税局監視課課長補佐 飯野 真五平成4年の覚書締結式には、羽田孜大蔵大臣(当時)が出席しました(写真右)。18 ファイナンス 2019 Jun.SPOT

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