ファイナンス 2019年6月号 Vol.55 No.3
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4兆円の復興財源確保に向けて 保有義務分以外は早期に処分日本郵政は、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命等からなる日本郵政グループの持株会社である。政府が保有する日本郵政の株式については、保有義務分である「3分の1超」を除いて、出来る限り早期に売却することが郵政民営化法で規定されている。また、復興財源確保法において、2022年度までに生じた日本郵政株式の売却収入は東日本大震災の復興財源に充てることとされている。具体的には、復興推進会議の決定に基づく復興財源フレームにおいて、売却収入4兆円程度が盛り込まれている。なお、日本郵政が保有しているゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式については、全株処分を目指し、経営状況、ユニバーサルサービス責務の履行への影響を勘案しつつ、できるだけ早期に売却することとされている。一方、日本郵便の株式に関しては、100%の保有義務がある。2015年9月には政府が日本郵政株式について、日本郵政がゆうちょ銀行株式及びかんぽ生命株式について、それぞれ新規売出しを公表し、2015年11月、3社の株式が同時に東京証券取引所に上場された。政府は日本郵政株式を市中で売却し、復興財源に充当した。また、日本郵政はゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式をそれぞれ市中で売却し、その売却収入を政府が保有している自己株式(日本郵政株式)の取得に活用した。これにより、政府は市中への売却と日本郵政への売却を合わせて、約1.4兆円の収入を確保した。その後政府は、2017年9月に第2次売却を行った。第2次売却においても、政府による市中での売却と日本郵政の自己株取得による収入を合わせて、約1.4兆円の収入を確保した。第1次売却、第2次売却により、総額約2.8兆円が東日本大震災の復興財源に充当された。2度の売出しで約2.8兆円を確保し、東日本大震災の復興財源に充当これまでの日本郵政株式の売却実績政府が保有する義務33.3%超56.9%4兆円程度2017年9月2次売却23.6%1.4兆円2015年11・12月1次売却19.5%1.4兆円今後売却する必要23.5%2015年11月に売却を開始 ファイナンス 2019 Jun.15保有義務超過分全ての売却を目指す政府保有の日本郵政株式第3次売出し準備をスタート特集

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