肖像画の人物の選定には 主に3つの条件がある選定に当たっては、日本史の教科書を参考にしながら、学校教育で学ぶ人物を基本とし、多くの人が知っているかなどを考慮しながら候補を絞る。結果、肖像の人物は、(1)写真が残っており、(2)品格があり、(3)国民によく知られているという条件を元に候補を選定し、最終的には財務大臣が決定する。今回、選定された3名には、現代の日本にも通じる普遍的な問題に取り組んだ人物であるという共通点がある。たとえば、渋沢栄一氏は、東京証券取引所や東京商工会議所など生涯に渡り500社にも上る新会社を興す手助けをし、産業の創出に貢献している。現在の国の成長戦略に盛り込まれている新規ビジネスの創出に合致した内容だ。津田梅子氏は、日本の女性としては初めて海外留学し、津田塾大学を創立し「男性と協力して対等に力を発揮できる、自立した女性の育成」を目指した。女性の教育を通じて、まさに現代日本の喫緊の課題である女性の活躍に貢献した。北里柴三郎氏は、破傷風菌の純粋培養など科学技術の発展に貢献し、第一回ノーベル賞候補にもなっている。また、私立伝染病研究所や私立北里研究所を創立するなど、後進の育成にも尽力している。これは技術大国として頑張ろうとしているいまの日本に通じるものがある。新五千円券の図案 表 津田 梅子(1864~1929)1871年、岩倉使節団に随行した最初の女子留学生の一人。1900年に女子英学塾(現 津田塾大学)を創立するなど、近代的な女子高等教育に尽力。裏 フジ(藤)「フジ(藤)」は古事記や万葉集にも登場し、日本では古くから広く親しまれている花。8 ファイナンス 2019 Jun.
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