ファイナンス 2019年5月号 Vol.55 No.2
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 【はじめに】稚内税務署は、明治30年4月に、宗谷税務署として設置され、昭和10年9月に稚内税務署と改称、平成7年12月に現在の「稚内合同庁舎」へ移転しました。現在の管轄地域は、日本のてっぺん(最北端)に位置する都市の稚内市を含め1市10町1村となっており、その管内面積は、全国3位の5,570km2と千葉県や愛知県より広く、管内人口は、約71,000人です。地域経済を支える主な産業は、北の宗谷海峡を中心に、東はオホーツク海、西は日本海に面し、豊かな魚場に囲まれている水産業、二つ目に、広大な一戸当たりの耕地面積を背景とした大規模な草地型の酪農業、三つ目に、「利尻礼文サロベツ国立公園」、ラムサール条約登録湿地の「サロベツ原野」や北海道遺産登録の「宗谷丘陵の周氷河地形」などの自然環境資源に恵まれた観光業となっています。ちなみに稚わっかない内という地名は、アイヌ語の「ヤム(冷たい)、ワッカ(水)、ナイ(沢)」を語源としており、草木がうっそうと茂り冷たい水が豊富に湧き出ていた所という意味があります。 【管内の名所】〔宗谷岬〕宗谷岬公園にある「日本最北端の地の碑」は、北緯45度31分22秒に位置し、まさに日本のてっぺんに建てられています。この碑は、北極星の一稜をモチーフにした三角錐のデザインで、塔の中央にある「N」の文字は「北」を、そして台座の円形は「平和と協調」を表しています。現在の碑が建てられる前は、地元の郷土愛好家によって石柱が建てられていただけでしたが、観光客が増えたことにより、現在のスタイルになる改修工事が行われ、さらに、昭和63年の大改修工事で、20m程沖合に移設され現在に至ります。これにより日本のてっぺんの領土が少しばかり広くなり、最北端の緯度も1秒高くなりました。訪れた際には、日付と時間が記載されている「日本最北端到着証明書」を記念に購入されることをお勧めいたします。この地域には、氷河時代に形成された“周氷河地形”と呼ばれるモコモコとしたなだらかな波状形の地形が特徴的な「宗谷丘陵」があります。周氷河地形ができたのは、今から2万から1万年前、地球最後の氷河期「ウルム氷河期」の終わり頃と言われています。こうした地形は北海道の至るところで形成されていたそうですが、開発などで破壊されたケースが多く、現在この美しい地形が最も顕著に見られるのはこの宗谷丘陵といえます。なお、1年中強い風が吹く稚内では、この風を利用した風力発電所の導入を積極的に推進しており、この宗谷丘陵に、現在57基、発電容量57,000kwを誇る日本有数の集合型風力発電所が壮大な姿で立ち並んでいます。日本のてっぺん 稚内稚内税務署 総務課長池田 佳大稚内72 ファイナンス 2019 May.連載各地の話題

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