ファイナンス 2019年5月号 Vol.55 No.2
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する調査結果」*43では、1000人当たりの不登校生徒数は滋賀県(28.5人)についで全国2位の27.6人(不登校生徒数1284人)、中途退学率は全国1位の2%(中途退学者数1116人)となっている。最近、沖縄の高校中退率は改善したといわれるが、母数が結果として操作されているのでは、比較・評価が難しい。最近刊行された打越正行著「ヤンキーと地元 ─解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち」(筑摩書房 2019年)では、高卒も含む、高校中退・中卒の沖縄の若者の暴力が日常茶飯事に生じている実態の一端が、社会学者の地道な参与調査によって明らかにされている。復帰後初といってよい繁栄を極める沖縄経済に、このような影の構造問題があることが、関係者の努力により、やっと沖縄県民の中でもオープンに可視化されてきたというべきなのだろうか。この問題の解決が「魅せる沖縄」の将来にとって、最大の課題であることを指摘して筆をおきたい。*43) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1410392.htm(2019年4月3日確認)プロフィール渡部 晶(わたべ あきら)沖縄振興開発金融公庫副理事長1963年福島県生まれ。87年京都大学法学部卒、大蔵省(現財務省)に入省。福岡市総務企画局長、財務省地方課長兼財務総合政策研究所副所長、内閣府大臣官房審議官(沖縄政策担当)などを経て、17年6月から現職。「月刊コロンブス」(東方通信社)で書評コラムを掲載中。出身の福島県いわき市の応援大使を務める。久米島の赤瓦の古民家 ファイナンス 2019 May.37「魅せる沖縄」の今後SPOT

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