ファイナンス 2019年5月号 Vol.55 No.2
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の「うちな~金融経済レビュー」として、「沖縄県の所得水準はなぜ低いのか(現状・背景・処方箋)」を公表した*32。要旨は以下の通りである。・「1人当たり県民所得」を始めとする統計データをみると、沖縄県の所得は全国最低水準にとどまっている。・沖縄県の場合は、「雇用者の所得」だけでなく、「企業の所得」も全国最低水準となっているのが特徴であり、折角の好景気を必ずしも十分に活かしきれていない点に問題の本質がある。・そうした状況下では、潤沢でない「企業の取り分」を*32) http://www3.boj.or.jp/naha/pdf/uchina181005.pdf*33) http://www3.boj.or.jp/naha/pdf/uchina190201.pdf削って、「雇用者の取り分」を増やしても、本質的な(長続きする)解決策にはならない。今後は、「生産性の向上等を通じて、企業の収益力(稼ぐ力)を強化し、雇用者の待遇改善につなげる」ことが課題といえる。・経営者の意識改革や大小様々な工夫を通じて、収益力を強化し、現在の景気拡大を十分に取り込めば、所得水準を向上させる伸びしろは決して少なくない。また、本年2月に、上記の続編として、「生産性向上・収益力強化に向けた全国・県内企業の取組」を公表した*33。日本銀行那覇支店が県内企業を対象に実施したアン図表8 個人企業の生産性比較北海道青森岩手宮城秋田山形福島茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄80.0100.0120.0120.0100.080.0個人企業の従業員1人当たり売上高~経営効率要因~(特化係数 全国=100)個人企業の売上高付加価値率~付加価値要因~(特化係数 全国=100)資料:総務省統計局「平成28年経済センサス活動調査」をもとに沖縄公庫作成図表9 雇用の安定性と産業人材の育成全国北海道青森岩手宮城秋田山形福島茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄0.400.600.801.001.201.401.6044.042.040.038.036.034.032.0正社員有効求人倍率平成29年度平均(倍)非正規従業員割合平成29年(%)資料:総務省統計局「就業構造基本調査」(非正規従業員割合)、厚生労働省各都道府県労働局「職業安定業務統計」(正社員有効求人倍率)をもとに沖縄公庫作成34 ファイナンス 2019 May.SPOT

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