ファイナンス 2019年5月号 Vol.55 No.2
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て発展を続け、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスがとれたコンパクトで持続可能な都市となることを目指し、様々な施策を展開しています。その中でも特徴的な施策として紹介させていただきたいのは、観光・MICE*の振興とスタートアップの支援です。福岡市は、第3次産業が9割を占める産業構造となっており、来訪者を増やし消費を拡大することが経済の活性化につながり、都市全体に活力をもたらすとの考えから、観光・MICEの振興に積極的に取り組んできました。その成果もあって、クルーズ船の寄港回数は4年連続で日本一となったほか、昨年の入国外国人数は初めて300万人を突破しました。また、G20福岡の開催後も、ラグビーワールドカップ(2019年)や世界水泳(2021年)といった大規模MICEの開催が予定されています。スタートアップの支援については、福岡市は「グローバル創業・雇用創出特区」として国家戦略特区に指定され、国の施策や規制改革に市の独自の施策を組み合わせることで創業の裾野を広げています。福岡市のスタートアップ支援の象徴であり、市内中心部の小学校跡地を活用したスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」には、多くの都市が視察に来られ、スタートアップに関する福岡市の取組みは、テレビや雑誌、書籍などで数多く取り上げられています。後ほどご紹介します機運醸成に関する事業においても、スタートアップを絡めたイベント等を予定しています。* MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。3 会議の成功に向けて昨年2月に開催都市として決定された後、G20福岡に向けた準備を各方面で進めてきました。昨年5月には、公共団体や経済団体など25団体で構成する「G20福岡 財務大臣・中央銀行総裁会議推進協力委員会」(事務局:福岡市)を設置し、会議の準備支援や開催機運の醸成、おもてなし、福岡・九州の魅力発信などにオール福岡で取り組むことを確認しました。これまで会議を3回開催し(5月に第4回会議を予定)、G20福岡に関連した取組みの実施に当たって、各構成団体がそれぞれの特性を活かし役割分担を行い、各自が主体となって責任を持って取り組むこととしています。それでは、以下、G20福岡に向けた主な取組みについてご紹介します。(1)機運醸成事業イベント・セミナーの開催会議開催の150日前となる1月9日に、機運醸成のキックオフとなるイベント「World kitchen」(主催:福岡商工会議所、博多まちづくり推進協議会、福岡市)を博多駅前広場で開催しました。キャッシュレス決済(LINEPay)の体験をしながら会議参加国の名物料理が味わえるコーナーを設置したほか、井上貴博財務大臣補佐官にもご臨席をいただきカウントダウンボードの除幕式を行いました(写真)。この日は最高気温10度を下回る平日で、一時雨が降るなど、取り巻く環境は決して良いと言えるものではありませんでしたが、それでも、1日を通して3千人もの方にお越しいただき、盛況のうちに終了することができました。また、同日に、前述の「Fukuoka Growth Next」にて、フィンテック関係者向けのセミナー「フィンテックがもたらすFUKUOKAのミライ」(主催:福岡地域戦略推進協議会、福岡市)を開催しました。LINE株式会社の出澤剛代表取締役社長による基調講演のほか、福岡市にて実施した「キャッシュレス実証実験」の報告会を実施し、起業家やIT関係者など多くの方にお越しいただきました。以降も、G20福岡関連シンポジウム「金融仲介の質の向上に向けたシンポジウム」(主催:福岡財務支局)など、G20福岡の開催に関連したイベントやセミナーを月に数回のペースで開催しています。また、直前期の6月1日から6日にかけては、G20財務大臣・中央銀行総裁会議のテーマである ファイナンス 2019 May15

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