ファイナンス 2019年5月号 Vol.55 No.2
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G20財務大臣・中央銀行総裁会議の生い立ちは、1997年に発生したアジア通貨危機に遡ります。新興国を中心に発生し、世界中に波及した金融不安を受けて、安定した国際金融システムを築くためにはそれまでのG7の枠組みだけでなく、新興市場国も巻き込んだ議論が必要との認識が共有されたのです。これを受けて、1999年6月のケルン・サミットのG7財務大臣会議において、中国などを含む新興国まで参加者を拡大したG20財務大臣・中央銀行総裁会議の創設が合意されました。こうして創設されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議は、次なる危機を受け、さらに進化しました。100年に1度と言われた金融危機、いわゆる「リーマンショック」です。未曽有の金融危機に対応するため、それまでの財務大臣と中央銀行総裁が集う会議であったG20がグレードアップされ、各国の首脳が集まるG20首脳会議が創設されました。第1回は2008年にワシントンDCで開催され、正式名称は「金融・世界経済に関する首脳会合」と言います。こういった成り立ちからも、G20財務大臣・中央銀行総裁会議が数あるG20関係会議の中でも重要な位置づけであることがご理解いただけると思います。日本議長下における、財務大臣・中央銀行総裁会議以外のG20関係閣僚会議の日程・開催地については、次ページの地図をご覧ください。1月に東京の椿山荘で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁代理会議は、こうした関係会議のキックオフを告げるものとなりました。その後、数々のワーキンググループで実務者級の活発な議論が行われたほか、4月にはワシントンDCにおいてG20財務大臣・中央銀行総裁会議を開催しました。これらの会議を踏まえて、G20首脳会議への最も重要なインプットを見据えて議論を行う場が、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議となります。G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議は、こうした重要な議論が行われる場であるだけでなく、各国の大臣・総裁を含む代表団の皆様に福岡や日本のすばらしさに触れていただく貴重な機会でもあります。実際、過去の議長国は様々な趣向を凝らして、代表団をおもてなししてきました。昨年の議長国であるアルゼンチンは、同国の伝統であるポロの観戦やタンゴダンスのショーを用意したほか、自慢のステーキをバーベキューで振る舞い、大変な好評を博したそうです。中国議長下において、大臣・総裁による「パンダへの餌やり」が行われたという例もあります。こうした打ち解けた場のほうが、会議場のかしこまった場よりもお互いの本音を聞くことができる、という話もあり、どのようなおもてなしを企画するかという点はまさに議長国の腕の見せ所と言えるかもしれません。我々日本の準備室も、各国代表団に福岡・日本の魅力に触れていただけるよう、地元のご協力を得ながら、様々な工夫を凝らしたイベントを企画しています。日本ならではの「おもてなし」の気持ちを感じていただきながら、警備に万全を期し、各国からお越しいただく代表団に落ち着いた雰囲気でしっかりとした議論を行っていただくためには、福岡市役所・福岡県警・福岡財務支局をはじめとするさまざまな関係者の緊密な連携が欠かせません。会議本番まで残り1か月となった今、準備室はじめ関係者で一丸となって、日本初開催となるG20の成功に向けラストスパートをかけていきたいと思います。G20 Finance - Operations OfceDeputy DirectorYOSHIHISA KITA G20財務大臣・中央銀行総裁会議準備室課長補佐 喜多 良寿G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議について10 ファイナンス 2019 May

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