ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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各地の話題紀州藩55万5千石の城下町 和歌山市大阪税関和歌山税関支署統括審査官宇井 盛介1はじめに和歌山県を管轄する和歌山税関支署の管内には、支署出張所として、下津出張所及び新宮出張所があります。以前は、下津出張所と新宮出張所の間に田辺出張所がありましたが、外国貿易船の入港がなくなり、輸出入貨物の申告がなくなったことから、平成12年(2000)7月1日、田辺出張所は廃止され、田辺出張所が管轄していた区域は下津出張所が管轄しています。和歌山税関支署は、明治32年(1899)4月に監視署として設置され、一時期、下津出張所が支署の時代もありましたが、昭和59年(1984)7月から和歌山税関支署となり現在に至っています。和歌山市に位置する和歌山税関支署には、基幹産業として県勢に大きな影響を持つ製鉄所があり、管内の輸出入貿易額に占める割合は高く、また、大手洗剤メーカーも立地しており原料の油脂類が輸入され、製品が輸出されています。輸出型地場産業としてハイテク技術を駆使した繊維機械の輸出も増えています。支署管内図(和歌山県)2和歌山下津港和歌山下津港は、和歌山県北部の臨海工業地帯を抱えており、(1)石炭・鉄鉱石・鉄鋼の和歌山北港区、(2)コンテナ・油脂材・塩等の和歌山本港区、(3)石油精製・鉄鋼の和歌浦海南港区、(4)石油精製の下津港区及び(5)有田港区の五港区に大別されます。和歌山北港区、和歌山本港区及び和歌浦海南港区の一部を和歌山税関支署が、和歌浦海南港区の一部、下津港区及び有田港区を下津出張所がそれぞれ管轄しています。和歌山本港区では、平成7年から県下で初めて外航定期コンテナ航路が、韓国釜山港との間で開設され、平成13年5月には西浜地区において、大型コンテナ船が接岸可能な岸壁やガントリークレーンを備えたコンテナターミナルが供用開始となり、現在、韓国・中国との定期コンテナ航路が運航し、年間70~80隻程度のコンテナ船が入港しています。平成30年9月4日、大型の台風21号が徳島県に上陸し、近畿地方を縦断しました。台風の暴風により、タンカー船が関西空港連絡橋に衝突し連絡橋が破損した衝撃的な映像が流れましたが、和歌山市内においても、観測史上最大となる最大瞬間風速57.4mを観測し、西浜地区に設置されているガントリークレーンのガーダー(横行桁)が暴風により歪んでしまいました。このため、これ以降、コンテナ貨物の荷役ができなくなり、和歌山下津港へのコンテナ船の入港は、6カ月以上途絶えることとなります。ガントリークレーンの管理者である和歌山県は、台風被害に係る予算を確保し、平成31年2月末、関東方面からリースのガントリークレーンを手配・仮設置を完了し、電気設備の設置、必要な検査を経て、3月末からガントリーク和歌山市 ファイナンス 2019 Apr.69連載各地の話題

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