ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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第十七回 新時代の若者と地域ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?新元号「令和」がいよいよ5月から始まりますね。万葉集に関連する書籍の人気が急上昇するなど、様々な好影響に接すると嬉しくなりますね。まもなく大型連休ですが、全国各地に「万葉の道」や「万葉の歌碑」があり、早速旅行が活性化しそうですね。新潟県での例を挙げれば、2400年前に創建された彌彦神社は、万葉集にも二首詠われている歴史あるパワースポット。万葉の道と歌碑、その両方があります。清々しい春の風を受けながら、境内からロープーウェイ山麓駅まで、万葉集に歌われている150余の植物のうち弥彦山に自生する60余の種を見ながら歩くことができます。ちなみに、ファイナンス2018年11月号で取り上げた錦鯉で有名な小千谷市には平成1丁目、2丁目があります。地域をまとめようと、平成元年1月に町名の住民アンケートと投票を実施し、平成に決定したそうです。タイミングが重なったとは言え、感度の高い対応は素晴らしいなあと思いました。全国初の定住要因調査(地域おこし協力隊)さて、人口減少、過疎化が進む地域の活性化のため、様々な取組がなされています。その中で、外部人材、とりわけ次世代を担う若者がカギとなることから、今や全国で5000人を超える地域おこし協力隊が活動しています。ただ、隊員・受入地域・行政の3者のミスマッチにより任期途中で退任する現実が課題になっています。隊員を単なる労働力だとみなしていたり、自ら地域に来たのだから定住するだろう、といった意識が一部であると言われています。新潟県では、数年前から受入地域側の受入体制が重要である旨を市町村担当者への研修等の機会を通じて伝えてきていましたが、劇的に現状は変わりません。やっぱり論より証拠です。新潟県は、地域おこし協力隊創設の際のモデルのひとつになった「地域復興支援員」(平成16年の中越大震災からの復興に向けた外部人材活用の仕組み)の創設県。説得的な材料をつくるべく、担当や地域おこしの専門家等で意見交換し、途中退任者を含めた元隊員本人を対象とした客観的な調査を実施することとなりました。都道府県という広域で行う調査としては全国初とのことです。調査のポイントは次ページに記載のとおりですが、「市町村・受入地域・隊員とでコミュニケーションが取れ、協働関係が築かれることが、隊員の成長、地域活性化に結びつき、結果として定住につながる。」「隊員が最初から定住することを前提として活動させたり、単なる作業に従事させるのではなく、隊員と地域住民の協働の機会や隊員が存分に活動できる環境の確保に努めることが重要。」というある意味常識的なものでした。ただ、客観的に示せた意義は大きいなあと思いますし、予想以上に個別事例と結び付けて報道されました。この分析は、地方へのUIターンにも当てはまり、活用できるのでは、と感じています。新潟県庁では、新採用職員の研修中、一人ひとりが決意を川柳の形で毎年したためているのですが、その一つを紹介して終わります。柔軟な発想でリスク恐れず実行し、羽ばたいてほしいです。「この学び 未来の県を 咲かすため」新潟県総務管理部長(元財務省広報室長)佐久間 寛道56 ファイナンス 2019 Apr.連載ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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