ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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1.31年度予算編成の基本的な考え方(1)平成31年度社会保障関係予算の全体像・平成31年度は、「経済財政運営と改革の基本方針2018」に定められた「新経済・財政再生計画」における基盤強化期間の初年度。社会保障関係費の自然増が6,000億円と見込まれる中、実勢価格の動向を反映した薬価改定や、これまでに決定した社会保障制度改革の実施等の様々な歳出抑制努力を積み重ねた結果、社会保障関係費の実質的な伸びは対前年度+4,774億円となり、同計画における社会保障関係費の実質的な伸びを「高齢化による増加分(平成31年度+4,800億円程度)におさめる」という方針を着実に達成。(2)消費税率の引上げに伴う対応・消費税率の引上げに伴い各種報酬を改定。医療機関等が負担する仕入税額相当額について、診療報酬で全体として適切に補填を行う一方、薬価等について、消費税率引上げ相当分の改定を行うとともに、過剰な国民負担が生じることのないよう、市場実勢価格を適切に反映。● 診療報酬本体:+0.41%(国費+200億円)● 薬価:▲0.51%(国費▲290億円)(実勢価格改定等分▲490億円)● 材料価格:+0.03%(国費+20億円)(実勢価格改定分▲10億円)・消費税増収分等を活用し、低所得高齢者の介護保険料の更なる軽減強化(公費654億円)及び年金生活者支援給付金の支給(公費1,859億円)といった「社会保障の充実」を行うとともに、「新しい経済政策パッケージ」に基づき、幼児教育・保育の無償化(公費3,882億円)や介護人材の処遇改善(公費421億円)等を実施。・上記の他、消費税率引上げに関連して、後期高齢者医療制度の保険料(均等割)に係る軽減特例の見直し及び幼児教育・保育の無償化に係る事務費・システム改修費の補助を実施。・「臨時・特別の措置」として、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の実施等に必要となる国費計679億円を措置。・軽減税率制度の導入に伴う安定的な恒久財源の確保については、与党税制改正大綱を踏まえ、これまでの社会保障の見直しの効果の一部を活用。(3) その他各歳出分野における取組 (集中・重点化に向けたメリハリ付け)(4) 「新経済・財政再生計画改革工程表」の着実な 実施を含めた社会保障制度改革「経済財政運営と改革の基本方針2018」に掲げられた改革検討項目について、「新経済・財政再生計画 改革工程表」(61項目)に沿って着実に実行。(単位:億円)項 目30年度31年度30’→31’増減通常分臨時・特別の措置うち、通常分社会保障関係費329,882340,593339,91467910,710(+3.2%)10,031(+3.0%)恩給関係費2,5042,0972,097-▲407(▲16.2%)▲407(▲16.2%)平成31年度 社会保障関係予算のポイント主計局主計官(厚生労働第一担当) 吉野 維一郎主計局主計官(厚生労働第二担当) 関口 祐司2 ファイナンス 2019 Apr.特 集

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