ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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コラム 経済トレンド58前大臣官房総合政策課 大橋 薫/山下 裕介訪日外国人消費について本稿では、訪日外国人消費について考察した。訪日外国人消費額は増加傾向・訪日外国人客数は中国・韓国などの東アジア諸国を中心に、2012年以降増加が続いている。訪日外国人客の消費額についても、訪日外国人客数の伸び等を背景に、増加基調にある(図表1、2)。・訪日外国人消費額の増加が日本経済に与える影響は大きくなっており、国際収支統計をみてみると、訪日外国人消費が含まれる「旅行」は、2012年はサービス収支の最大の赤字項目であったが、2017年には知的財産権等使用料に次ぐ黒字項目へ変化している(図表3)。図表1 訪日外国人客数01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000中国韓国台湾香港北米その他(万人)(年)20121314151617182030政府目標値図表2 訪日外国人消費額0.02.04.06.08.010.012.014.016.018.020.0訪日外国人消費額(兆円)政府目標値(年)20121314151617182030図表3 サービス収支▲1.5▲1.0▲0.50.00.51.01.5知的財産権等使用料建設金融サービス公的サービス等維持修理サービス個人・文化・娯楽サービス通信・コンピュータ・情報サービス保険・年金サービス委託加工サービス輸送旅行▲1.5▲1.0▲0.50.00.51.01.5知的財産権等使用料旅行金融サービス公的サービス等建設個人・文化・娯楽サービス委託加工サービス維持修理サービス保険・年金サービス輸送通信・コンピュータ・情報サービス【2012年】【2017年】(兆円)(兆円)訪日客は何を求めて日本へ?・さて、訪日客はどのようなことを期待して日本を訪れているのだろうか。「訪日前に最も期待していたこと」を国別にみると、「日本食を食べること」を挙げる人が多くなっている点は全体で共通している。一方で中国・台湾・香港でみられるショッピングが米国にはみられず、その代わりに「日本の歴史・伝統文化体験」・「日本の日常生活体験」等が上位にあがっている(図表4)。・このような差異は実際の消費割合にも表れており、中国・台湾・香港は「買物代」の割合が最も多く、他方で米国は「宿泊料金」の割合が高くなっている(図表5)。図表4 国別訪日目的中国韓国台湾香港米国第1位ショッピング日本食を 食べること自然・ 景勝地観光日本食を 食べること日本食を 食べること第2位自然・ 景勝地観光ショッピング日本食を 食べることショッピング日本の歴史・伝統文化体験第3位日本食を 食べることテーマパークショッピング自然・ 景勝地観光自然・ 景勝地観光第4位テーマパーク自然・ 景勝地観光テーマパーク温泉入浴日本の日常生活体験第5位温泉入浴温泉入浴温泉入浴テーマパーク四季の体感(注1)単一回答方式。(注2)調査対象は「観光・レジャー目的」での訪日客。図表5 国別消費割合0%20%40%60%80%100%中国韓国台湾香港米国買物代宿泊料金飲食費交通費娯楽サービス52 ファイナンス 2019 Apr.連載経済 トレンド

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