ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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銀ぎん座ざたんめん【東銀座】麺メニューは「たんめん」一本。 引き算を貫いたシンプルな1杯で、いざ勝負!ロケーションは、各線東銀座駅から徒歩3分強。首都高速東銀座出口を間近に臨む側道沿いにひっそりと佇む同店は、2019年1月16日にオープンしたばかりの新店舗。銀座界隈の飲食店事情にお詳しい方であれば、もしかするとピンと来られるかもしれないが、こちらは元々喫茶店『珈琲いしうす』だった場所。私は、その喫茶店の存在を知らなかったが、相当の年季が入ったお店だったようで、先般の閉店に当たり名残を惜しむ声もあったと聞いている。今回ご紹介する「銀座たんめん」は、屋号が示すとおり、タンメンを専門的に提供する店舗。現在のところ、それ以外のメニューには一切手を付けず、店舗入口左手に鎮座する券売機のメニュー構成も「たんめん(800円)」「たんめん大盛(900円)」以外は、アルコール類(「缶ビール」「缶サワー」「缶ハイボール」)のみという潔さ。私が同店に足を運んだ夜営業時においても、「たんめん」を頼みながら「缶ビール」を2、3本空けていくサラリーマンの姿がチラホラ見受けられた。さて、こちらの「たんめん」は、凜と澄み切った動物系素材ベースのスープに白菜がうずたかく積み上がった、この上なくシンプルな装い。カウンターに丼が到着した瞬間から、モクモクと立ち上る湯気に「できるだけ熱々の状態で召し上がってもらいたい」という作り手の想いが伝わってくる。一般的なタンメンは、白菜のほか、キャベツ・ニンジン・ネギなど、多士済々の野菜が豪快に盛り付けられ、麺と野菜を共にかっ食らうといったイメージが強い食べ物。この点、同店の「たんめん」は、麺とスープ以外に登場するのは、強火で炒めた大量の白菜と、豚肉&モヤシのみ。素材の「引き算」を妥協なく遂行することによって、余分な贅肉を徹底的に削ぎ落としたビジュアルが、却って強いインパクトをもたらし、食べ手の好奇心を掻き立てる。食べ物の「魅せ方」を分かっているように見える店長に「どこか他の飲食店で修業された経験はおありなんですか」と尋ねてみた。すると、予想どおり「複数の飲食店で修業を重ねてきました」とのご回答。スープを丹念に舌上で転がせば、白菜&塩の豊潤かつ自然味豊かな甘みが口いっぱいに広がり、喉元に爽やかな後口を刻む。スープだけではない。適度に粉っぽさを演出した小麦の風味芳しい細ストレート麺は、自家製。多岐に及ぶ中国・韓国の辛子を吟味の上、最良のものを選び抜いて創り上げた自家製ラー油も、スープに一滴垂らせばうま味と甘みをキリリと引き締め、更なる高みへと昇華させる渾身の力作。近い内に、餃子の提供も開始する予定だという。このラー油がしっとりと餃子の衣に絡む様子を想像するだけで……。思わず、ゴクリと生唾を飲み込んでしまいそうになるほど魅惑的だ。(店舗情報)住所:中央区銀座4-14-3 銀座斉藤ビル1F電話番号:-営業時間:11:00~22:00(スープ終了次第閉店)金曜:11:00~23:45土曜:11:00~15:00定休日:日曜プロフィールラーメン探究家 かずあっきぃ(田中 一明)1972年11月生まれ。学生時代に出逢った1杯のラーメンに感銘を受け、1995年より本格的な食べ歩きに着手。「ラーメンの魅力の探究」をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンをコンスタントに実食。総食杯数は12,000杯を超える。日本全国のラーメン事情に通暁し、各種媒体にラーメン情報を精力的に発信。 ファイナンス 2019 Apr.43かずあっきぃのラーメン探訪記連載ラーメン 探訪記

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