ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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強化や、海空領域における能力、スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、機動・展開能力を強化し、さらに、平時から有事まで必要とされる各種活動を継続的に実施できるよう、後方分野も含めた防衛力の持続性・強靭性を強化する。装備品のうち、主要なものの具体的整備規模は、別表(図表2)で定められており、今後5年間は、これに基づき整備を行う。(2)所要経費この計画の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額は、平成30年度価格でおおむね27兆4,700億円程度を目途としている。本計画期間中、防衛力整備の一層の効率化・合理化を徹底し、重要度の低下した装備品の運用停止や費用対効果の低いプロジェクトの見直し、装備調達の最適化及びその他の収入の確保などを通じて実質的な財源確保を図り、本計画の下で実施される各年度の予算の編成に伴う防衛関係費は、おおむね25兆5,000億円程度を目途*2とする。なお、装備品等の整備を迅速に図る観点から、事業管理を柔軟か*2) 前中期防において、各年度の予算の編成に伴う防衛関係費は、おおむね23兆9,700億円程度の枠内とする、とされていた。「枠内」を「目途」とした趣旨は、新規後年度負担額を抑制するために新たに設けた契約額17兆1,700億円程度について、「枠内」として明確な歯止めとしていることから、これに対応したものである。つ機動的に行うとともに、経済財政事情等を勘案しつつ、各年度の予算編成を実施する。また、この計画を実施するために新たに必要となる事業に係る契約額(物件費)は、平成30年度価格でおおむね17兆1,700億円程度(維持整備等の事業効率化に資する契約の計画期間外の支払相当額を除く)の枠内とする。防衛装備品の調達等は、契約した年度のみならず多年度にわたり支払いが続く場合が多いことから、後々の支払いを適切に管理する必要があるところ、これまでの中期防では新規後年度負担額については枠を示してこなかった。このため、特に前中期防期間中に新規後年度負担額が大きく増加し、後年度の予算の硬直化や歳出規模の増大を招いた。これを受けて新中期防では、所要経費全体を示しつつ、財政審の指摘を受け、後年度負担を管理する契約額の枠を新たに設けることで、防衛力の強化と、防衛関係費の適切な管理という二つの目的を両立させるものとしたところである。図表2  中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について(別表)区 分種 類整備規模陸上自衛隊機動戦闘車134両装甲車29両新多用途ヘリコプター34機輸送ヘリコプター(CH-47JA)3機地対艦誘導弾3個中隊中距離地対空誘導弾5個中隊陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)2基戦車30両火砲(迫撃砲を除く。)40両海上自衛隊護衛艦10隻潜水艦5隻哨戒艦4隻その他4隻自衛艦建造計23隻(トン数)(約6.6万トン)固定翼哨戒機(P-1)12機哨戒ヘリコプター(SH-60K/K(能力向上型))13機艦載型無人機3機掃海・輸送ヘリコプター(MCH-101)1機航空自衛隊早期警戒機(E-2D)9機戦闘機(F-35A)45機戦闘機(F-15)の能力向上20機空中給油・輸送機(KC-46A)4機輸送機(C-2)5機地対空誘導弾ペトリオットの能力向上(PAC-3 MSE)4個群(16個高射隊)滞空型無人機(グローバルホーク)1機注1:哨戒ヘリコプターと艦載型無人機の内訳については、「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」完成時に、有人機75機、無人機20機を基本としつつ、総計95機となる範囲内で「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」の期間中に検討することとする。注2:上記の戦闘機(F-35A)の機数45機のうち、18機については、短距離離陸・垂直着陸機能を有する戦闘機を整備するものとする。22 ファイナンス 2019 Apr.特 集

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