ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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はこのような性質を備えた真に実効的な防衛力として、多次元統合防衛力を構築していく必要がある。将来の主要な編成、装備等の具体的規模については、防衛大綱の別表で定められている(図表1)。3.新中期防平成最後の建議となった財政制度等審議会の「平成31年度予算の編成等に関する建議(平成30年11月20日)」は、「実効的な防衛力整備は、国民の確かな信頼と理解の下、安定的な経済、競争力のある産業、高度な技術、そして健全かつ持続的な財政といった、総合的な国力を背景として初めて可能となる」と指摘した上で、次期中期防の策定に当たっては、より財政規律を働かせるとともに、国民への説明責任を果たす観点から、(i)新規後年度負担の適切な管理と(ii)装備品のメリハリ付けと計画単価の明示、の2点を求めている。また、調達改革についても、(i)防衛省全体の能力・体制の更なる強化と(ii)防衛産業の強靭化の必要性を指摘している。財政当局としては、これらの指摘を新中期防に的確に反映させるべく所要の調整を図ったところである。(1)計画の方針新防衛大綱に従い、格段に速度を増す安全保障環境の変化に対応するため、従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化する。また、人口減少と少子高齢化の急速な進展や厳しい財政状況を踏まえ、既存の予算・人員の配分に固執することなく、資源を柔軟かつ重点的に配分し、効果的に防衛力を強化する。さらに、あらゆる分野での陸海空自衛隊の統合を一層推進し、縦割りに陥ることなく、組織及び装備を最適化する。具体的には、領域横断作戦を実現するため、宇宙・サイバー・電磁波の新たな領域における能力の獲得・図表1 平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について(別表)共同の部隊サイバー防衛部隊1個防衛隊海上輸送部隊1個輸送群陸上自衛隊編成定数常備自衛官定員即応予備自衛官員数15万9千人15万1千人8千人基幹部隊機動運用部隊3個機動師団4個機動旅団1個機甲師団1個空挺団1個水陸機動団1個ヘリコプター団地域配備部隊5個師団2個旅団地対艦誘導弾部隊5個地対艦ミサイル連隊島嶼防衛用高速滑空弾部隊2個高速滑空弾大隊地対空誘導弾部隊7個高射特科群/連隊弾道ミサイル防衛部隊2個弾道ミサイル防衛隊海上自衛隊基幹部隊水上艦艇部隊うち護衛艦部隊4個群(8個隊)護衛艦・掃海艦艇部隊2個群(13個隊)潜水艦部隊6個潜水隊哨戒機部隊9個航空隊主要装備護衛艦54隻(イージス・システム搭載護衛艦)(8隻)潜水艦22隻哨戒艦12隻作戦用航空機約190機航空自衛隊基幹部隊航空警戒管制部隊28個警戒隊1個警戒航空団(3個飛行隊)戦闘機部隊13個飛行隊空中給油・輸送部隊2個飛行隊航空輸送部隊3個飛行隊地対空誘導弾部隊4個高射群(24個高射隊)宇宙領域専門部隊1個隊無人機部隊1個飛行隊主要装備作戦用航空機約370機うち戦闘機約290機注1:戦車及び火砲の現状(平成30年度末定数)の規模はそれぞれ約600両、約500両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約300両、約300両/門とする。注2:上記の戦闘機部隊13個飛行隊は、STOVL機で構成される戦闘機部隊を含むものとする。 ファイナンス 2019 Apr.21平成31年度予算特集:3新防衛大綱・新中期防と平成31年度防衛関係費について 特 集

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