ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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度までの開業目標達成を確実にするため、北陸新幹線・九州新幹線の事業費増加を受けた対応として、既設新幹線譲渡収入や前倒しによる貸付料財源に加えて、国費を増額。(注) このほか、北陸新幹線の敦賀・新大阪間ルートの環境影響評価等を行うための調査費(設計施工法等調査費12億円の内数)などを計上。(エ)公共事業のイノベーション転換(a) 新技術の現場実証・実装の推進(新技術導入促進調査経費)12億円⇒14億円(+2億円、+17%)・建設現場におけるイノベーションを推進するため、実用段階に達していない技術シーズや要素技術の現場検証を行い、技術シーズの実用化や新技術の現場実装を推進する。(b) ICT、AI、IoTの活用による下水道施設管理の低コスト化・省力化下水道事業調査費39億円の内数・下水道管路内の音響データをAI解析することによって異常検知を可能とするなど、ICT、AI、IoTを用いた下水道実証事業を行い、実装化につなげることで、下水道マネジメントの低コスト化・省力化を図る。(3)「観光先進国」の実現(ア) 2020年4000万人等の目標達成に向けた高次元な観光施策の加速276億円⇒681億円(+405億円、+147%)・訪日外国人旅行者数2020年4000万人等の目標達成に向け、国際観光旅客税の増分(+440億円)を活用しつつ、顔認証ゲートを用いた出入国手続きの高度化、無料Wi-Fiや多言語案内といった受入体制整備、文化財や国立公園等を活用した観光コンテンツの拡充等を加速する。(注) 上記予算額には、平成31年度観光庁計上予算に加えて、皇室費計上予算(15億円:三の丸尚蔵館の整備)も含む。(参考)国際観光旅客税の税収の使途について・国際観光旅客税の税収については、(1)ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備(2)我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化(3) 地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上の3つの分野に充当する。平成31年度予算(総額500億円)の主な施策・事業は以下のとおり。(1)ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備・顔認証ゲートやバイオカートの増配備等:71億円(法務省)・電子申告ゲートや高性能検査機器の増配備等:30億円(財務省)・ チェックインから搭乗までの手続きの自動化等:35億円(観光庁)・ 公共交通機関の多言語対応・無料Wi-Fi整備等:55億円(観光庁)・ まちなかの多言語案内や観光案内所の機能強化等:31億円(観光庁)(2)我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化・ ビッグデータやSNSの分析を踏まえたプロモーションの効果分析や、個人の興味を分析した先進的なプロモーションの展開等:51億円(観光庁)(3) 地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上・ 文化財を活用した歴史体感プログラムの造成等:100億円(文化庁)・ 国立公園のビジターセンターのインバウンド対応等:51億円(環境省)(イ)クルーズ船の受入環境改善143億円⇒147億円(+4億円、+2.9%)・港湾における大型クルーズ船受入能力を拡充するため、既存の物流ターミナルを有効活用し、防舷材・係船柱等を整備するほか、クルーズ旅客の受入機能を高度化するための支援を行う。・国際旅客船拠点形成港湾において、船会社の旅客施設等の新規投資にあわせて岸壁の整備等を行い、官民連携によるクルーズ拠点の形成を推進する。(ウ) 首都圏空港等の機能強化(羽田空港ほか国際拠点空港等4空港)152億円⇒157億円(+5億円、+3.3%)・羽田空港においては、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会を控えた整備の総仕上げの年に当たり、飛行経路の見直し等により空港処理能力を約4万回拡大するための航空保安施設や誘導路等の整備、国際線・国内線地区を結ぶトンネルの整備等を着実に推進する。・その他の国際拠点空港等においても、訪日外国人旅行者の増加等に対応するため、CIQ施設など受入環境の整備を着実に実施する。(4)戦略的海上保安体制の構築(ア) 我が国領土・領海を堅守するための海上保安体制の強化2,112億円⇒2,153億円(+41億円、+1.9%)・平成30年度第二次補正予算と合わせ、尖閣対応の大型巡視船を中心に、引き続き「海上保安体制強化に関する方針」に基づく体制強化等を推進する。 ファイナンス 2019 Apr.17平成31年度予算特集:3平成31年度国土交通・公共事業関係予算について 特 集

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