ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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3か年緊急対策」として必要な対応を実施するため、8,503億円を計上している。平成31年度の国土交通省関係の一般会計予算(通常分)は5兆9,216億円と、平成30年度当初予算比+1,142億円の増加となっている。これは消費税率引上げによる影響のほか、国際観光旅客税を活用した観光庁予算の拡充(+390億円)などの影響によるものである。また、平成31年度の「臨時・特別の措置」を活用し、住宅の需要変動の平準化対策として、すまい給付金(785億円)、次世代住宅ポイント(1,300億円)を実施するほか、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として必要な予算額(7,308億円)を計上している。(参考) 東日本大震災復興特別会計における公共事業関係費の計上額は6,157億円(復旧2,464億円、復興3,693億円)であり、災害復旧の進捗等に応じて、平成30年度当初予算比+142億円(+2.4%)の増加となっている。2.主な施策の概要平成31年度の国土交通省予算では、主に以下のような施策を講じることとしている。※以下、計数は平成30年度当初予算⇒平成31年度当初予算(1)防災・減災・老朽化対策の推進(ア) 地方公共団体への交付金による支援から個別補助による支援への切り替え1,500億円・近年の大規模災害を踏まえ、地方公共団体が優先的に取り組むべき防災・減災対策事業については、交付金による支援から、個別補助による計画的・集中的な支援に切り替える。例えば、直轄事業と連携することで一体的な効果を発揮する水害・土砂災害対策等を支援する。(参考)想定される個別補助の具体事例・ 国道事業の法面対策と連携して、国の補助によって砂防堰堤の整備を支援・ 県管理河川の水位を下げるため、国の補助によって大規模な放水路の整備を支援・ 「重要物流道路」の機能強化(空港・港湾へのアクセス路の確保など)について、国の補助によって道路の整備を支援(イ) 道路・河川管理施設等の戦略的な老朽化対策による維持修繕道路:3,683億円⇒3,811億円(+129億円、+3.5%)河川管理施設等:1,986億円⇒2,041億円(+55億円、+2.8%)・国が直轄管理する道路や河川管理施設等について、長寿命化計画に基づく適切な維持管理を行い、予防保全を前提としたメンテナンスサイクルを確立することにより、戦略的に中長期的な維持管理・更新コストの縮減・平準化を図る老朽化対策を推進する。(ウ) 激甚な水害・土砂災害が発生した地域の再度災害防止対策492億円⇒551億円(+59億円、+12%)・平成30年7月豪雨など、近年に激甚な水害・土砂災害が発生した地域において、洪水時の水位を下げるための河道掘削や、土砂・流木を捕捉するための砂防堰堤を整備するなど、再度災害防止対策を充実・加速する。(2)生産性向上のためのインフラ整備(ア)生産性向上に資する道路ネットワークの整備3,522億円⇒3,731億円(+209億円、+5.9%)・大都市圏環状道路等と一体となって、空港・港湾等の物流拠点へのアクセスを強化するなど、生産性向上に資する道路ネットワークの整備を推進する。(参考)低金利の財政投融資を活用した高速道路整備の加速財政投融資を活用して、生産性向上のための新名神高速道路の6車線化(亀山西JCT~大津JCT。2022年度から順次開通見込み)、暫定2車線区間の4車線化等を行う(融資規模1.0兆円)。(イ)国際コンテナ戦略港湾の機能拡充の加速766億円⇒790億円(+24億円、+3.2%)・国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)において、日本と北米・欧州等を直接結ぶ国際基幹航路を維持・拡大するため、船舶の大型化に対応した大水深コンテナターミナルの整備、AIや遠隔操作RTGを活用したターミナルの機能高度化等を推進する。(ウ)整備新幹線の着実な整備755億円⇒792億円(+37億円、+5.0%)・平成27年1月の政府・与党申合せに基づく令和4年16 ファイナンス 2019 Apr.特 集

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