ファイナンス 2019年4月号 Vol.55 No.1
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1. 公共事業関係費・国土交通省予算の概要(1)基本的考え方平成30年11月20日に財政制度等審議会・財政制度分科会がとりまとめた「平成31年度予算の編成等に関する建議」において、次のような提言がなされた。「社会資本整備については、これまでの建議において、整備水準が概成しつつある状況を踏まえ、「量」をいたずらに拡大する状況にはなく、中長期的な視点に立って「質」の改善を図っていくことの重要性を強調してきた(「量」から「質」へ)。平成31年度予算においては、引き続きこうした方針を継続しなければならないことはいうまでもない。一方、近年大規模な災害が頻発し、全国各地に深刻な被害をもたらしていることは看過できないところである。こうした現状を踏まえた上で、安全・安心の向上に資する、実効性の高い防災・減災対策に向けた重点化・効率化を進めるほか、日本の成長力を高める生産性の高い事業にも重点化するなど、予算の中身、使い方を徹底して見直す必要がある。」こうした提言を踏まえ、平成31年度予算においては、公共事業関係費については安定的な確保を行い、その中で、(1)防災・減災対策強化のための個別補助化や老朽化対策、(2)生産性向上のためのインフラ整備への重点化を推進することとしている。他方で、空港分野でのコンセッションの進展等により、空港整備勘定の自主財源が充実傾向にある点を踏まえ、一般財源からの繰り入れの効率化を行っている。予算の「質の向上」を進める観点からは、道路・港湾といった既存ストックを有効活用したインフラ連携の推進や、新技術の導入を通じた公共事業におけるイノベーションの促進といった対応に取り組んでいる。これらに加え、平成31年度予算では、「臨時・特別の措置」を活用し、消費税率引上げに伴う住宅の需要変動の平準化対策(すまい給付金、次世代住宅ポイント)及び「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として必要な対応を実施することとしている。(2)一般会計予算の水準こうした基本的考え方の下で予算編成を行った結果、平成31年度の公共事業関係費の一般会計予算(臨時・特別の措置を除いた通常分)は、平成31年10月の消費税率引上げによる影響額(780億円)を含め前年度比+807億円(+1.3%)の6兆596億円となっている。また、平成31年度の「臨時・特別の措置」を活用し、「防災・減災、国土強靱化のための平成31年度 国土交通・公共事業関係予算について主計局主計官 岩佐 理≪一般会計≫(通常分)(単位:億円)30年度31年度30’→31’増減公共事業関係費59,78960,596+807(+1.3%)(臨時・特別の措置)(単位:億円)30年度31年度30’→31’増減公共事業関係費-8,503+8,503(皆増)(通常分)(単位:億円)30年度31年度30’→31’増減国土交通省関係計58,07559,216+1,142(+2.0%)公共事業関係費51,82852,510+682(+1.3%)非公共予算6,2476,707+460(+7.4%)※本表のほか、委託者の負担に基づいて行う附帯・受託工事費831億円(前年度821億円)がある。※国際観光旅客税の31年度税収のうち国交省予算に計上される485億円(前年度60億円)を含む。(臨時・特別の措置)(単位:億円)30年度31年度30’→31’増減国土交通省関係計-9,393+9,393(皆増)公共事業関係費-7,153+7,153(皆増)非公共予算-2,240+2,240(皆増) ファイナンス 2019 Apr.15特 集

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