ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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新しい価値を見出すまちづくり~まちづくりのコンセプトは「創客創人」~日南市総合政策部総合戦略課長黒岩 保雄1日南市の概要日南市は、宮崎県南部に位置し、人口約5万2千人の都市です。温暖な気候を生かした生産量日本一のスイートピー、約400年の歴史がある飫肥杉林業、水揚げ日本一を誇る近海カツオ漁業など、第一次産業を基盤としています。また、広島東洋カープや埼玉西武ライオンズなどのスポーツキャンプ地としても知られています。2まちづくりのコンセプトは「創客創人」本市は、1588年(天正16年)から明治初期までの間、飫肥(おび)藩として伊東家が統治していました。この飫肥藩は小藩であり、近隣の薩摩藩の脅威を受け続けるとともに、財政的な危機にも陥ったこともありましたが、新しい産業を興したり、人材育成に力を入れたことにより、約280年もの長い間、藩を保ちました。これは時代を読み解き、知恵と創意工夫を持って、変化を恐れずに果敢に挑戦するという精神を持った人材を育て、次世代へつないできた結果だと考えています。現在の本市もかつての飫肥藩のように様々な課題に直面していることから、そうした現状を打破するため、先人たちが努めてきた「人づくりこそがまちづくり」に取り組んでいく必要があると考えます。そのため、本市では、市総合計画のコンセプトとして「創客創人」を掲げています。「創客創人」とは、様々な分野において、今あるもの、資源の中から、人々が望む価値を見出し、それを実現する製品やサービスなどを創り出し、「新しい需要=客」を創り、その客を幸せにする仕組みを創れる人財を育てる意味の造語です。3民間人活用「日本一組みやすい自治体」「創客創人」をコンセプトにまちづくりを掲げていますが、国の地方政策が「選択と集中」を強める中にあって、持続可能な地域として自走できるためには、地方創生へ向けた取組みが重要であると考えています。しかしながら、地方創生の実現を目指すためには、行政だけでは効果的な仕組みの構築の限界があることから、本市では民間の力も必要と考えています。そのため、「日本一組みやすい自治体」を標榜し、これまで、マーケティング専門官・田鹿倫基氏やテナントミックスサポートマネージャー・木藤亮太氏、更に、まちなみ再生コーディネーター・徳永煌季氏を登用するなど、民間と「上手に組む」ことで、スピード感を持ち柔軟な対応ができる市政運営を行っています。写真1  テナントミックスサポート事業により整備された油津商店街今回は、「まちなみ再生コーディネーター」の取組み内容について、御紹介いたします。4まちなみ再生コーディネーター事業本市には、江戸時代から栄えた由緒ある城下町で、日南市70 ファイナンス 2019 Mar.連 載 ■ 各地の話題

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