ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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コラム 経済トレンド57大臣官房総合政策課 調査員 関 祥吾/葭中 孝都市部と地方の人口移動本稿では、日本における人口移動の背景と今後の展望について考察した。日本の人口と人口移動・国勢調査によると、日本の人口は2008年をピークに減少が始まっている。今後も人口減少は続き、2050年頃には1億人を割る水準になるとされている(図表1)。・国内の人口割合の推移をみると、三大都市圏では増加傾向にある一方、三大都市圏以外の地域では減少傾向にある。都市部の人口割合が増加し、その他の地域で減少する流れは、今後も継続するとみられている(図表2)。・東京圏における人口増加は顕著であり、高度経済成長期やバブル期においても東京圏への転入超過が目立っていたが、2000年代に入って以降、再び転入超過が目立つようになっている(図表3)。図表1 日本の人口推計0.00.20.40.60.81.01.21.419657585952005152535455565実績値推計値(億人)(年)(注)〈東京圏〉東京圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県〈名古屋圏〉岐阜県、愛知県、三重県〈大阪圏〉京都府、大阪府、兵庫県、奈良県図表2 三大都市圏及び東京圏の人口が 総人口に占める割合46.1%51.8%56.7%23.0%28.4%32.5%53.9%48.2%43.3%20304050607019707580859095200005101520253035404550三大都市圏東京圏三大都市圏以外の地域推計値(%)(年)図表3 東京圏の転入超過数(2017年)▲10010203040506070195767778797200717総数東京圏名古屋圏大阪圏三大都市圏計▼   東京圏▼大阪圏▼名古屋圏▼(万人)(年)東京圏への人口移動・東京圏の転入出の動きを年齢別にみると、特に若年層における動きが大きくなっている。中でも20~24歳の層については、7万人を超える転入超過となっている(図表4)。・背景の一つとして、雇用環境について相対的に都市部の方が有利である点が指摘されている。東京圏とその他地域の有効求人倍率を比較すると、足元での差は小さくなっているものの、東京圏の方が高い傾向が続いている(図表5)。・また、進学を目的とした人口の流れについての指摘もある。全国の大学入学者数の地域分布をみると、2018年度の大学入学者数のうち約4割を東京圏の学生が占めている。都市部の教育環境を求める学生が集まっていることが考えられる(図表6)。図表4 東京圏の年齢別転入出数 (2017年)▲10▲50510150~410~1420~2430~3440~4450~5460~6470~7480~8490~(歳)(万人)転入者転出者図表5 東京圏・その他地域の有効求人率 とその格差の推移▲0.050.000.050.100.150.200.250.300.350.400.45▲0.200.000.200.400.600.801.001.201.401.601.802006081012141618東京圏(a)その他地域(b)a-b(右軸)(倍)(倍)(注)ここでの格差とは、有効求人倍率の差(a-b)を示す。(年)図表6 大学入学者数の地域分布 (2018年度)東京都24%東京圏(東京都を除く)17%大阪圏19%名古屋圏8%その他32%56 ファイナンス 2019 Mar.連 載 ■ 経済トレンド

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