ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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寺西康博さんの5名です。このパネルディスカッションでは、登壇者が各地域において実践しているプロジェクトに関して議論が展開されました。山陰合同銀行の安喰さんは、地域ビジネスのアレンジャーとしての立場から「地域の課題解決を担う地域金融機関として、地域商社を設立したり、大学発ベンチャーを活性化させるためのファンドを立ち上げた」経験などが語られました。また、徳島の吉野川市と連携し、廃校を利用した食用花(エディブルフラワー)栽培を支援している徳島財務事務所の寺西さんは、「地域の課題解決には、補助金やしがらみがなく、事業主体とはなりえない財務局だからこそ、地域のつなぎ役が果たせる。最終的にプロジェクトを推進するには、個人の熱意が大きい」と話しました。山形の鶴岡市へのキャンパス開設を主導した慶應義塾大学の冨田さんからは、「地域のためと考えて活動していると地域間競争に陥ってリソースの取合いとなりがちであることから、全世界をマーケットにして勝負する必要がある。そのために人と違うことをする人間が必要なのに、日本にはそうした人材が圧倒的に不足している」との指摘がありました。また、外資系企業でIT活用による地域課題解決に取組む今井さんは、「和歌山の南紀白浜にサテライトオフィスを開設したところ、早く帰宅してサーフィンをしたい社員などが増えて生産性が20%上がった」実績をもとに、地域に出ていくことで業務改善につなげた事例を紹介しました。なお、地域での新たな取組は、地元の人に理解されにくいという傾向について、長崎の対馬で鮮魚を直販している銭本さんからは、「地元の漁師さんの魚も東京などに直販し、消費者から評判が良かった、という話を漁師の奥さんにすることで、それが漁師であるご主人に伝わり、気持ちよく新しい取組に協力してくれた」、という体験を語りました。このパネルディスカッションでは、関西のテレビ番組を参考に、モデレーターの角さんがパネリストの回答をテンポよく引き出しながら、地域活性化に向けた示唆に富む議論となりました。パネルディスカッション2角 勝 さん安喰 哲哉 さん銭本 慧 さん今井 早苗 さん冨田 勝 さん寺西 康博 さん6ミートアップ!!シンポジウムの閉会にあたっては、関東財務局の田中琢二局長より「仏教に造詣が深いスティーブ・ジョブズが語った『stay foolish』や分け隔てなくつながるという『無分別智』の密教の教えこそが、オープンイノベーションに他ならない。今日のイベントとネットワークで得た熱量を持ち帰って今後の連携に活かして頂きたい。」との挨拶がありました。田中局長 ファイナンス 2019 Mar.33地方創生イベント『ENGINE!日本のミライと出会う場所』を開催 SPOT

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