ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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1.概要(1)平成31年度の一般会計の文教及び科学振興費(「臨時・特別の措置」除き)は、5兆3,824億円(30年度当初予算比+311億円、+0.6%)を計上している。このうち、文教関係費は4兆445億円、科学技術振興費は1兆3,378億円である。また、一般会計の文部科学省所管予算(「臨時・特別の措置」除き)は、5兆3,203億円(30年度当初予算比+265億円、+0.5%)を計上している。このうち、文教関係費は4兆415億円、科学技術振興費は8,804億円、その他が3,985億円である。なお、「臨時・特別の措置」は、文教及び科学振興費で2,201億円、文部科学省所管予算で2,084億円を計上している。(2)31年度の文教及び科学振興費の編成に当たっては、・ 文教・科学技術分野の真の課題は予算の「量」ではなく、予算の「使い方」にあり、「単純な配分」から「質の向上に実効性のある配分」へ予算の使い方を見直すこと、・ 政府として方針の定められた教育の経済的負担軽減を着実に実施することに重点をおいた。その主なポイントは以下の通りである。○予算の「使い方」の見直し・ 国立大学法人運営費交付金⇒各国立大学への配分方法の見直し原則前年同額で固定して配分してきた仕組みから、評価に基づく配分を1,000億円に拡大(うち、700億円は成果に係る共通指標(※)による相対評価に基づく配分、300億円は既存の重点支援評価に基づく配分)※  成果に係る共通指標:若手研究者比率、運交金等コスト当たりトップ10%論文数、教員一人当たり外部資金獲得実績 等・ 科学研究費助成事業(科研費)⇒若手研究者への重点化評価に基づき配分される科研費について、大型研究種目から若手研究者向け研究種目へのシフトや一部種目における若手研究者の積極的採択など、若手研究者への重点化を進めつつ、充実・ 義務教育費国庫負担金⇒加配要件の見直しより質の高い英語教育に向け、小学校教諭の新規採用者のうち、一定以上の英語力を有する者の割合が50%以上(中学校教諭に求められる水準として教育振興基本計画に定められた割合と同水準)である都道府県等に、英語専科指導のための教員加配を行う仕組みを導入・ 部活動指導員⇒配置要件の見直し教師が授業等に注力できるよう、働き方改革の一環として、部活動指導員の配置にあたり、適切な練習時間や休養日の設定など、部活動の適正化を進めている自治体を対象とするよう見直し○教育の経済的負担軽減・ 31年10月からの「幼児教育の無償化」の着実な実施・ 32年度からの「高等教育の経済的負担軽減」の本格的実施に向けての段階的拡大・ 29年度から開始した「高等教育の給付型奨学金・無利子奨学金の拡充」の安定的な実施のための措置平成31年度 文教及び科学振興費について主計局主計官 中島 朗洋22 ファイナンス 2019 Mar.特集

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