ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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きた財源不足を解消したことである。これは平成20年度の地方財政対策以来11年ぶり*10であり、これに伴って平成30年度は1,655億円あった地方交付税の特例加算が皆減となっている。地方団体に実際に交付される地方交付税は、上記の一般会計に計上される金額(入口ベース)に、交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特会」という。)からの財源を加えた金額となる(いわゆる出口ベース)。平成31年度においては、地方法人税の見込額6,876億円(対前年度+343億円)、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金(以下「機構準備金」という。)1,000億円(対前年度▲3,000億円)*11、前年度からの繰越金4,215億円*12が交付税特会に計上されている*13。ここから同会計における借入金の償還額と*10) ただし平成20年度は、補正予算において国税の収入見込額の減額が行われ、これに伴う地方交付税交付金の減額分を一般会計において補填したことに留意(当該補填分のうち地方が負担すべき分については、後年度の地方財政対策の中で精算)。*11) 機構準備金は、地方公共団体金融機構法附則第14条の規定に基づき、財政投融資特別会計投資勘定に帰属させた上で、同勘定から交付税特会に繰り入れることとしている。平成29年度地方財政対策において、「まち・ひと・しごと創生事業費」等の財源として平成29年度から平成31年度までの間、総額9,000億円の範囲内において活用することとされ、平成29、30年度において計8,000億円が活用されている。*12) 平成29年度決算と平成30年度の国税収入の補正に伴う地方交付税法定率分の増+5,311億円から、災害対応のための平成30年度の特別交付税の増額分700億円等を除いたもの。*13) なお、平成30年度の地方財政対策においては、交付税特会の借入金に係る利払費の不用額750億円を計上し、地方交付税の財源として活用したが、平成31年度においてはこうした計上は行っていない。仮に同様の不用が発生した場合は、平成32年度以降の地方交付税の財源として活用されることとなる。*14) 地方財政審議会「今後目指すべき地方財政の姿と平成31年度地方財政への対応についての意見」(平成30年12月11日)等。支払利子の合計5,792億円を控除した6,299億円(対前年度▲180億円)が交付税特会からの財源となり、これを入口ベースの地方交付税交付金に加算した16兆1,809億円(対前年度+1,724億円)が、出口ベースの地方交付税交付金となる。なお、平成31年度の交付税特会借入金の償還額については、地方税収等の状況を踏まえて1,000億円増の5,000億円とし、特別会計においても地方財政の健全化を進めたところである。折半対象財源不足のうち地方負担分については、平成13年度以降、臨時財政対策債の発行によって賄ってきているが、これも折半対象財源不足の解消に伴い、平成31年度の新規発行はゼロとなっている。更に、臨時財政対策債の累増への懸念や、地方財政の健全化を求める意見*14を踏まえ、過去に発行した臨時資料:地方交付税総額(マクロ)の算定、「地方一般財源総額実質同水準」ルールについて一般財源平成31年度地方財政計画(単位:兆円)特定財源【歳出:89.6】公債費:11.9投資的経費:13.0一般行政経費:38.4うち、補助分:21.5うち、単独分:14.2うち、まち・ひと・しごと創生事業費:1.0うち、重点課題対応分:0.27給与関係経費:20.3その他:3.9水準超経費:2.0臨財債:-(折半対象財源不足分)【歳入:89.6】地方税・地方譲与税:42.9その他:6.0地方交付税:16.2地方特例交付金等:0.4国庫支出金:14.7その他地方債:6.2臨財債:3.3(折半対象臨財債を除く)地方交付税交付金(出口):16.2兆円地方交付税法定率分等:15.6特会財源:0.6折半対象財源不足:-国・地方折半の財源不足が解消(平成20年度以来)地方交付税交付金(入口):15.6兆円歳出歳入ギャップ分※法定率:所得税33.1%法人税33.1%酒税50%消費税20.8%(62.7)(26.9)○地方交付税総額の算定においては、地方財政計画における歳出歳入ギャップに対し、国税の一定割合である地方交付税の法定率分(国)を充当。法定率分等で不足する財源については、特例加算(国)と臨時財政対策債(地方)により国と地方の折半で負担。○「地方一般財源総額実質同水準ルール」とは、「地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、…一般財源の総額(※)について、2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」もの。※一般財源総額とは、地方交付税、地方特例交付金等、地方税、地方譲与税及び臨時財政対策債の総額。○平成23年度に導入され、平成30年6月に策定された「新経済・財政再生計画」においては、同ルールを平成33(2021)年度まで維持する旨が規定されている。新経済・財政再生計画における「地方一般財源総額実質同水準ルール」の記述(「骨太2018」(平成30年6月15日閣議決定))③ 地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。※特定財源・「国庫支出金」は、一般行政経費(補助)及び投資的経費(補助)の財源。・「その他地方債」は、建設事業費や災害救助・復旧事業費等の適債事業の財源。・ 「その他」は使用料及び手数料、雑収入。 ファイナンス 2019 Mar.19平成31年度予算特集:2平成31年度地方財政対策について 特集

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