ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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(水準超経費を除き+0.4兆円の60.7兆円)としつつ、・ 過去最高の地方税収等の見込みを背景に折半対象財源不足を11年ぶりに解消し、臨時財政対策債の発行を大幅に縮減(対前年度▲0.7兆円の3.3兆円)する、など、地方財政の健全化に資する内容となった。あわせて、・ 幼児教育・保育の無償化の円滑な実施のため、初年度に要する経費全額を国が負担し、・ 防災・減災、国土強靱化のための取組等の財源を措置する、など、現下の課題にも適切に対応するものとなった。3. 平成31年度地方財政対策 (通常収支分)について(1)地方の歳出の見込みA) 一般行政経費政府は平成29年12月8日に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」において、平成31年10月に予定されている消費税率10%への引上げによる財源(5兆円強)の使い道を見直し、そのうち1.7兆円程度を、幼児教育・保育の無償化をはじめとする「人づくり革命」の財源に充てることとした。平成31年度の地方の一般行政経費には、この幼児教育・保育の無償化等に係る事業費(4,839億円(皆増))や、社会保障・税一体改革の中で従前から予定されていた社会保障の充実に伴う事業費(2兆1,930億円(対前年度+3,271億円))、高齢化等に伴う社会保障関係費の増加などが反映されており、補助事業として21兆4,845億円(対前年度+1兆2,489億円)、地方単独事業として14兆1,804億円(対前年度+1,190億円)が計上されている。また、平成30年度税制改正で決定された森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)について、森林環境譲与税(仮称)の譲与が平成31年度から始まる予*4) 森林環境税(仮称)の課税は平成36年度から開始する予定となっているため、平成35年度までの間は、暫定的に交付税及び譲与税配付金特別会計における借入れを譲与財源としている。この借入金は、後年度の森林環境税(仮称)の税収の一部をもって償還することとなっている。定である*4ところ、これを財源として実施する森林整備等に係る経費200億円を新たに「重点課題対応分」に計上し、2,700億円(対前年度+200億円)としている。地方創生のための「まち・ひと・しごと創生事業費」については、引き続き1兆円が計上されている。B) 投資的経費政府は、近年激甚化している災害により全国で大きな被害が頻発している状況を踏まえ、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を取りまとめ、平成30年12月14日に閣議決定した。これを受けて地方の歳出には、直轄・補助事業に係る投資的経費として、同対策に係る事業費1兆1,518億円を含む6兆9,077億円(対前年度+1兆973億円)が計上されている。あわせて、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に基づく事業と連携しつつ、地方が単独事業として実施する河川、治山、農業水利施設等の防災インフラの整備を推進するため、「緊急自然災害防止対策事業費」として新たに3,000億円を地方単独事業に係る投資的経費に計上している。この結果、同経費は6兆1,076億円(対前年度+3,000億円)となっている。C) その他の経費給与関係経費については、国家公務員の給与改定に準じた給与改定等を反映して、20兆3,307億円(対前年度+163億円)が計上されている。公債費については11兆9,088億円(対前年度▲2,976億円)、公営企業繰出金は2兆5,394億円(対前年度▲190億円)、維持補修費は1兆3,491億円(対前年度+412億円)、不交付団体の水準超経費は2兆300億円(対前年度+1,900億円)が計上されている。これらの結果、地方の歳出総額は過去最高の89兆5,930億円(対前年度+2兆6,957億円)となっている。 ファイナンス 2019 Mar.17平成31年度予算特集:2平成31年度地方財政対策について 特集

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