ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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1.はじめに一般会計歳出に計上される地方交付税交付金は、地方交付税法において、国税収入額の一定割合(平成31年度は所得税及び法人税の収入額の33.1%、酒税の収入額の50%、消費税の収入額の20.8%)と規定されている*1。しかし、実際に地方団体に交付される地方交付税の総額は、地方財政全体の収支見通し(地方財政計画)において、地方歳出の総額と、地方税、*1) この法定率分に加え、過去の地方財政対策における国と地方の貸し借りなどに起因して地方交付税法附則等によって後年度に加算することが定められている額の加算(法定加算等)及び過年度の精算が加減算される。地方交付税の法定率分及び法定加算等、地方債、国庫支出金などの地方歳入の合計額との間に生じた乖離(歳出歳入ギャップ)を国・地方が折半して補填するための加算(特例加算)などを行った上で決定されている。その上で、平成23年度以降、地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、前年度を下回らないよう実平成31年度 地方財政対策について主計局主計官 前田 努資料:地方一般財源総額の推移59.437.360.238.260.239.160.339.760.340.060.740.80.51.92.01.91.92.10.70.70.80.90.21.40.61.50.61.80.61.80.62.00.617.817.617.216.816.316.215.915.516.06.26.16.25.64.53.84.04.03.3323436384042444648505254565860626462.7H310(兆円)H23H25H26H27H28H29H30(年度)H2459.659.559.860.461.561.762.162.1○一般財源総額実質同水準ルールに基づく毎年度の予算編成の結果、地方の一般財源総額は、不交付団体の水準超経費(※)や消費税率の引上げに伴う社会保障の充実等に相当する分を上乗せした水準で維持されている。※水準超経費(=不交付団体の基準財政収入が基準財政需要を超過する額)を含めて一般財源総額を同額とした場合、不交付団体における税収増に伴って交付団体の財源(地方交付税)が減少することとなる。○この結果、地方の安定的な財政運営に必要な財源を確保しつつ、地方税収等の増加(消費税率の引上げを含む)に伴って、地方交付税及び臨時財政対策債が減少。一般財源(水準超経費除き)水準超経費【一般財源総額(左側)】地方税等(消費税率引上げ分除き)地方税(消費税率引上げ分)交付税(消費税率引上げ分)交付税等(消費税率引上げ分除き)臨時財政対策債【一般財源総額の内訳(右側)】消費税率引上げによる財源増 ファイナンス 2019 Mar.15特集

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