ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
11/80

(2)外務省予算における重点項目保護主義の台頭、テロ・暴力的過激主義の広がりなどの国際情勢の変動に対して、国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方に立ち、国際的行事の開催など戦略的に外交を展開し、国益を確保していくため、主に以下の施策に予算を計上している。ア.国際的行事の日本での開催[G20大阪サミット]サミット会場や国際メディアセンターの借上げ・設営、電力通信インフラの整備等の経費として、257億円を計上している。[TICAD7(第7回アフリカ開発会議)]会議施設の設営、アフリカ各国首脳の接遇等の経費として、11億円を計上している。[即位の礼]即位の礼参列のために来日する外国元首等の接遇等の経費として、51億円を計上している。イ. 日本の国益と国際社会の平和と繁栄を実現するための外交力の強化[強固な対外関係の構築]日米同盟の一層の強化及び同盟国・友好国のネットワーク化、近隣諸国との協力関係の強化、中東の平和と安定への貢献の強化、法の支配に基づく国際秩序の強化のための経費として、72億円を計上している。[自由貿易の旗手としての国際経済の牽引]自由貿易の推進、自由で開かれた国際経済体制の主導、日本企業の海外展開推進支援等のための経費として、209億円を計上している。[地球規模課題の解決への積極的な貢献]国際機関等における邦人職員の増員・昇進支援、保健・防災等の地球規模課題に対する日本のイニシアティブの発揮、国際社会の平和と安定への貢献のための経費として、127億円を計上している。[外交実施体制の抜本的強化]外務大臣のより効率的・合理的な移動手段の確保、在外公館の施設・機能の強化、在外公館の新設(在バヌアツ大使館、在コソボ兼勤駐在官事務所及び在ダナン領事事務所)等のための経費として、523億円を計上している。[積極的平和主義に基づく戦略的なODAの拡充]海洋法執行能力や連結性の強化等の「自由で開かれたインド太平洋」の具体化や「人間の安全保障」の理念に基づくSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた協力等のための経費として、3,160億円を計上している。ウ.戦略的対外発信基本的価値に基づく国際秩序の実現に向けて、日本の政策・取組の対外発信を戦略的に強化するため、内外シンクタンクとの連携強化や外国メディアへの発信強化、ジャパン・ハウス(サンパウロ、ロンドン、ロサンゼルス)等を通じた日本の多様な魅力の発信や草の根レベルでの対日理解の促進等のための経費として、712億円を計上している。エ.在外邦人や国内を守るためのテロ対策各地でテロ等緊急事態が多発する中、在外邦人の安全対策、情報収集・分析や水際対策の強化等のため、邦人被害の発生予防に向けた情報発信、在外教育施設の安全対策強化、在外公館警備の強化等のための経費として、229億円を計上している。 ファイナンス 2019 Mar.7平成31年度予算特集:2平成31年度 内閣・内閣本府等、復興庁及び外交関係予算について特集

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る