ファイナンス 2019年3月号 Vol.54 No.12
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4.外交関係予算(1)ODA予算ア.一般会計ODA予算の位置付けと31年度予算の特徴一般会計ODA予算は平成9年度をピークに減少してきた。平成28年度以降、「質の高いインフラ投資」、「自由で開かれたインド太平洋」など、ODAを戦略的に展開し増加傾向にある中、31年度における一般会計ODA予算についても前年度より増加し5,566億円(30年度5,538億円)を計上している。イ.外務省ODA予算外務省ODA予算は、主に、無償資金協力、技術協力及び国際機関等への拠出から構成される。[無償資金協力・技術協力]無償資金協力は、返済義務のない資金を供与するものであり、主に、比較的所得水準の低い国を対象としている。医療・保健、食糧援助といった基礎的生活分野への援助や、地雷除去、環境保全等の取組みへの支援、経済発展のために必要な道路・橋梁の建設等インフラ整備への支援、災害や難民援助にかかる緊急人道支援など、多岐にわたる支援を実施している。また、技術協力は、途上国の人づくりや制度の構築に貢献するため、日本の技術や知見を相手国の技術者等に伝えることを目的として、専門家派遣や研修員の受入れ等を行うものである。31年度予算においては、「開発協力大綱」(27年2*5) 国際機関等への拠出において記載されている予算額は、非ODA予算も含む。月10日閣議決定)を踏まえつつ、国益に資する開発協力を一層戦略的に実施するために必要な経費として、無償資金協力については1,631億円(30年度1,605億円)、技術協力(独立行政法人国際協力機構)については1,510億円(30年度1,505億円)を計上している。[国際機関等への拠出*5]国際機関等への拠出については、国連分担金等、条約等に基づく支払い義務があるもの(分担金・義務的拠出金)と、政策的判断に基づき任意に拠出するもの(任意拠出金)から構成される。31年度予算では、分担金・義務的拠出金として989億円(30年度1,086億円)、任意拠出金として284億円(30年度292億円)を計上している。国際機関等への拠出については、外務省において31年度当初予算の概算要求に際し、当初予算で措置している全ての国際機関等について、(1)当該機関等の専門分野における成果・影響力、(2)当該機関等の組織・財政マネジメント、(3)日本の外交課題遂行における当該機関等の有用性・重要性、(4)当該機関等における日本人職員・ポストの状況等、(5)日本の拠出金等の執行管理におけるPDCAサイクルの確保等を評価基準として、A~Dの4段階評価を実施しており、これらを踏まえつつ、メリハリを付けた予算を計上している。資料4 平成31年度 東日本大震災復興特別会計 復興庁所管予算のポイント(概要)◆ 復興庁所管予算:1.5兆円(1.6兆円)を措置し、被災地の復旧・復興の加速化を推進。◆ 復興庁独自執行予算については、復興のステージの進展に応じて生じる新たな課題に迅速かつ適切に対応できるよう所要額を計上。・震災復興特別交付税・復興債費・復興加速化・福島再生予備費・被災者支援・住宅再建・復興まちづくり・産業・生業(なりわい)の再生・原子力災害からの復興・再生  等復興特別会計 2.1兆円(2.4兆円)復興庁所管 1.5兆円(1.6兆円)うち復興庁独自執行予算 0.2兆円(0.2兆円)○被災者支援総合交付金177億円(190億円)・被災地の直面する課題・ニーズに的確に対応・見守り、コミュニティ形成、子ども支援の取組を一体的支援○東日本大震災復興交付金573億円(805億円)・復興まちづくりを着実に実施○福島再生加速化交付金890億円(828億円)・福島の復興・再生を加速・長期避難から早期帰還への施策を一括して支援○福島生活環境整備・帰還再生加速事業111億円(150億円)・避難解除区域への帰還促進・将来への帰還に向けた荒廃抑制・保全対策主な復興庁独自執行予算(注)括弧書の計数は30年度予算額6 ファイナンス 2019 Mar.特集

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