ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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2) 次に、消費税率の引上げに伴う需要変動を平準化するため、施策を総動員することとし、通常分の予算に加え、「臨時・特別の措置」を講じ、合わせて2兆280億円を計上している。・中小小売業等に関する消費者へのポイント還元2,798億円・低所得・子育て世代向けプレミアム付商品券1,723億円・住宅の購入者等への支援-すまい給付金785億円・住宅の購入者等への支援-次世代住宅ポイント制度1,300億円・防災・減災、国土強靱化対策1兆3,475億円など3) 甚大な被害をもたらす災害への防災・減災を目的として、国民経済や国民の生活を支える重要インフラの機能維持を図るため、「臨時・特別の措置」の一環として、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」のうち、平成31年度に行う事業に対し1兆3,475億円を計上している。・河川、砂防、道路等の防災・減災対策7,153億円・ため池、治山施設、森林、漁港等の防災・減災対策1,207億円・水道施設の耐震化対策等259億円・学校施設等の防災・減災、地震津波観測網等に関するインフラ緊急対策1,518億円・電力インフラ、製油所・油槽所の緊急対策462億円・災害拠点病院等における耐震化対策等75億円など4) 一方で、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)において定められた「新経済・財政再生計画」の初年度の予算として、その方針に沿って歳出改革の取組を継続することとし、社会保障関係費については、高齢化による増加分におさめるとの方針を達成し、また、非社会保障関係費についても、歳出全般にわたる見直しが行われた。この結果、平成30年度当初予算から新規国債発行額を1兆317億円減額し、一般会計の基礎的財政収支も▲10.4兆円から▲9.2兆円へと改善している。新規国債発行額は安倍政権発足以来7年連続で縮減することとなり、平成24年度当初予算と比較して11兆5,835億円の減額となっている。(3)平成31年度予算のフレーム平成31年度予算については、通常分の予算に加え、「臨時・特別の措置」を講じることとしたことから、通常分、「臨時・特別の措置」の分、そして、これらを合計した分の予算フレームについては、図1、図2の通りである。歳出については、通常分は99兆4,291億円、それに「臨時・特別の措置」の分である2兆280億円を合計して、一般会計総額は101兆4,571億円となっている。これに対し、歳入については、租税等の収入は、過去最高となる62兆4,950億円、その他収入は6兆3,016億円を見込み、公債金は32兆6,605億円となっている。(4)主要な経費の概要社会保障関係費においては、「新経済・財政再生計画」に沿って、様々な歳出抑制努力を積み重ねた結果、実質的な伸びを「高齢化による増加分におさめる」という方針を達成している。また、消費税増収分を活用し、幼児教育・保育の無償化のほか、低所得高齢者の介護保険料の更なる軽減強化、年金生活者支援給付金の支給などを行うこととしている。これらの結果、34兆593億円を計上している。文教及び科学振興費においては、教職員定数において効率化と必要な分野の充実を図るほか、幼児教育や高等教育の経済的負担の軽減、大学改革、安全・安心な学校の施設整備等を推進することとしている。また、若手研究者に重点的に資源配分を行うなど科学技術基盤を充実するとともに、イノベーションを促進することとしている。これらの結果、5兆6,025億円を計上している。地方財政においては、地方の一般財源総額を適切に ファイナンス 2019 Feb.3平成31年度予算特集:1平成31年度予算及び平成30年度第2次補正予算について 特集

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