ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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コラム 経済トレンド56大臣官房総合政策課 調査員 杉山 渉/村田 亮シニアの雇用動向本稿では、労働市場で15~64歳の生産年齢人口が減少するなか、活躍が期待される65歳以上の高齢者(以下、シニア)の労働市場への参画について、現状と課題を考察した。シニアの雇用の現状・医療の発展等により平均寿命は延び続けている。また、健康水準に個人差はあるものの、健康寿命も延びている(図表1)。・日本の総人口が減少する一方で、シニアの人口は増加基調である。シニアの割合も、1950年の4.9%から2017年の27.7%まで一貫して拡大し続けてきた(図表2)。・近年、内外需要の回復で企業の採用意欲が高まるなか、シニアの就労者数も2012年以降増加傾向にある(図表3)。今後も当面は高齢化が進んでいく予測もなされており、シニアの雇用は更に重要性を増すだろう。図表1 平均寿命・健康寿命60708090200147101316平均寿命(男性)平均寿命(女性)健康寿命(男性)健康寿命(女性)(年齢)(年)(注)健康寿命は「日常生活に制限のない期間の平均」図表2 シニアの人口4.935.3051015202530354001,0002,0003,0004,000195060708090200010172535実績推計65歳以上人口65歳以上人口比率(万人)(%)(年)図表3 シニアの就労者数57080714161820222402004006008001,00020101112131415161765歳以上就業者数65歳以上就業率(%)(万人)シニアの雇用の特徴・シニアの雇用形態をみると、全体と比べて非正規比率が高く、また増加基調にある(図表4)。・シニアの働く目的は、「お金を得るために働く」の割合が一番大きいものの、年齢を重ねるごとに金銭面での割合が低下していき、「生きがいをみつけるために働く」等の割合が増えている(図表5)。・また、地域別にシニアの平均月間就業時間と就業率の関係をみると、全体と比べてシニアの就業時間は短く、就業率も低い(図表6)。図表4 シニアの非正規比率2030405060708090100201011121314151617(%)65歳以上全体(年)図表5 働く目的02040608010040~49歳50~59歳60~69歳70歳以上(2018年調査、%)その他社会の一員として、務めを果たすために働く生きがいをみつけるために働くお金を得るために働く図表6 シニアの就業時間と就業率10011012013014015016017002040608065歳以上(就業率、%)(2017年、就業時間、時間)全体(注)地域ごとに平均月間就業時間と就業率をプロット。地域は、北海道、東北、南関東、北関東・甲信、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄の11地域。58 ファイナンス 2019 Feb.連 載 ■ 経済トレンド

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