ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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第十五回 少子高齢化時代の雪国の共生~除雪ボランティア~ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?「おじいちゃんおばあちゃんの笑顔と「ありがとう」の言葉でまた来たくなるんだよね。」1月に新潟県魚沼市で除雪ボランティア活動に参加したときのベテラン参加者の弁です。除雪のボランティアなんてあるの?との感想を持たれる方もいるかと思いますが、ボランティアは除雪の担い手として重要な役割を担っています。多くの参加者は首都圏を中心とした県外の方。もっとも雪の降る2月、「家屋の除雪」に焦点を当ててみたいと思います。除雪の担い手不足冬、家の2階から出入りする雪国の一コマ。小学校の教科書で一度はその写真をご覧になったことがあるのではないでしょうか?地球温暖化等の影響で多少は少雪になったとは言え、日本海側の中山間地域ではまだまだ3mも積もるエリアがあります。現在、家の除雪を十分に行えないことが中山間地を中心に社会問題になっています。除雪はある程度の体力が必要で、屋根に登って行うことも少なくないなか、少子高齢化が進んでいるからです。具体的にみると、特別豪雪地帯では、高度成長期時代からすでに人口が減少しており、50年前に比べ△33%の人口減(全国では28%の人口増。国勢調査の昭和40年と平成27年の比較)である一方、高齢化率は全国より高くなっています(平成27年で33%。全国では27%)。このようななか、雪による死者数は相当程度発生しています。降雪の状況によりますが、全国で平成27年度27名、平成28年度65名、平成29年度116名で、平成29年度で見ると、除雪作業中の事故による死者が約9割の102名に上っています。屋根やはしごからの転落が多くを占めています。ボランティアの存在感科学が発達した今、そもそも人力で除雪しなくて済むようにすればいいじゃないか?と思われる方もいると思います。例えば屋根の雪下ろしでみると、灯油等をエネルギーに屋根の雪を解かす家(融雪式克雪住宅)や、鋭角で雪が積もらない落雪式克雪住宅等があります。ただ、住宅改修費用に加え、前者は燃料代のランニングコスト、後者は結局地上での除雪が必要になり、まだ雪国の家の標準となっている訳ではありません。新潟県総務管理部長(元財務省広報室長)佐久間 寛道除雪作業家屋へ徒歩移動除雪作業風景56 ファイナンス 2019 Feb.連 載 ■ ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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