改定後は、当該国の債務負担能力をより適切に反映するために、CPIAに加えて、当該国の経済成長率、外貨準備高、送金及び、世界の経済成長率がさらに追加され、それらの指標の影響を加重平均したComposite Indicator（CI）の取る値によって、各国の債務負担能力がWeak（CI＜2.69）, Medium（2.69 ≤ CI ≤3.05）, Strong（CI＞3.05）のいずれかに設定されることになっている。4．おわりに本稿では、中国の一帯一路政策に関連して足元で注目を集めている債務問題を取り上げ、債務問題と開発との関わり、IMF及び世銀によるLICs向けの債務持続性分析枠組みであるLIC DSFについて概観してきた。適切な債務管理は、特に債務管理に関連する政策及び制度が比較的脆弱な傾向にあるLICsにとり、持続可能な開発資金の獲得と差し迫った返済資金の手当てをする点で重要である上、債権国にとっても、適切に融資供与先の債務持続性を見極めることは、債権保全と持続可能な開発資金の供与を行う上で必要不可欠だろう。また、債務持続性をみる目は、中国の一帯一路の影響や来る2019年6月のG20大阪サミットの主要議題として挙げられるであろう世界のインフラ整備に係る融資の在り方を考える上でも役に立つ。債務持続性を確保しつつ、インフラ開発などの資金ニーズを適時適切に充当するといった世界的な課題に対処するため、各主体が協調できるところは協調し、一定の国際規範に則った開発がさらに進展することを期待したい。参考文献Dollar, D. and Svensson, J. 2000. What explains the success or failure of structural adjustment programmes?. The Economic Journal. 110, 466, pp894-917.Easterly, W. 2005. What did structural adjustment adjust? The association of policies and growth with repeated IMF and World Bank adjustment loans. Journal of Development Economics. 76, 1, pp1-22.Hurley, J., Morris、S. and Portelance, G. 2018. Examining the debt implications of the Belt and Road Initiative from a policy perspective. CGD Policy Paper, 121, pp1-33.International Monetary Fund. 2017. Review of the debt sustainability framework in low-income countries：Proposed reforms. IMF Policy Paper, September 2017.International Monetary Fund. 2018a. Guidance note on the Bank-Fund debt sustainability framework for low-income countries. February 2018.International Monetary Fund. 2018b. Sri Lanka：2018 Article IV Consultation and Fourth Review Under the Extended Arrangement Under the Extended Fund Facility̶Press Release; Staff Report; and Statement by the Executive Director for Sri Lanka. June 2018.JICA『年次報告書2018』. 2018，pp1-91.荒井悦代「99年租借地となっても中国を頼るスリランカ」，『IDEスクエア̶世界を見る眼』，2018，pp1-6.伊豆山真理・栗田真広「インド洋地域の安全保障̶中国の進出への域内諸国の対応」，防衛研究所編『東アジア戦略概観2017』，防衛研究所，第2章，2017，pp38-70.石川滋「世界銀行の国際開発政策見直しと日本のODA」，『社会科学研究』，53 （6），2002，pp25-50.黒崎卓「開発経済学の功績」，『経済セミナー』，2018年8・9月号（703号），日本評論社，2018，pp.22-25.山田昂弘「開発についての諸考察：導入」，『ファイナンス』，財務省，2018, 12, pp52-55． ファイナンス 2019 Feb.55シリーズ 日本経済を考える 86連 載 ■ 日本経済を考える
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