ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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がいを持って充実した生活を送ることができる一億総活躍社会の実現を目指す。2019年10月に予定されている消費税率の引上げに伴う対応については、引上げ前後の需要変動を平準化するための十分な支援策を講ずるなど、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調が持続するよう、2019年度・2020年度当初予算において臨時・特別の措置を講ずる。財政健全化については、2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。平成31年度予算は、「新経済・財政再生計画」で位置付けられた、社会保障改革を軸とする基盤強化期間の初年度となる予算であり、同計画に基づき、歳出改革等に着実に取り組む。日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。3.平成31年度の経済見通し(1)平成31年度の経済の姿平成31年度については、同年10月に消費税率の引上げが予定されている中、経済の回復基調が持続するよう当初予算において臨時・特別の措置を講ずるなど、「2.平成31年度の経済財政運営の基本的態度」の政策効果もあいまって、我が国経済は雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる。物価については、景気回復により、需給が引き締まる中で上昇し、デフレ脱却に向け前進が見込まれる。この結果、平成31年度の実質GDP成長率は1.3%程度、名目GDP成長率は2.4%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は1.1%程度の上昇と見込まれる。なお、先行きのリスクとして、通商問題が世界経済に与える影響や海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。(2)各項目の見通し(ア)実質国内総生産(実質GDP)・民間最終消費支出雇用・所得環境の改善が進む中、消費税率引上げに伴う対応の効果もあって、増加する(対前年度比1.2%程度の増)。・民間住宅投資緩和的な金融環境の下、消費税率引上げに伴う対応の効果もあって、増加する(対前年度比1.3%程度の増)。・民間企業設備投資堅調な企業収益の下、人手不足への対応等もあって、引き続き増加する(対前年度比2.7%程度の増)。・政府支出社会保障関係費や、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に伴う公共事業関係費の増加等により、増加する(対前年度比1.0%程度の増)。・外需(財貨・サービスの純輸出)海外経済の緩やかな回復に伴い輸出が増加する一方、国内需要を反映して輸入が増加することにより、おおむね横ばいとなる(実質経済成長率に対する外需の寄与度▲0.0%程度)。(イ)実質国民総所得(実質GNI)交易条件が緩やかに改善することや海外からの所得の増加により、実質国民総所得(実質GNI)は実質GDP成長率を上回る伸びとなる(対前年度比1.6%程度の増)。(ウ)労働・雇用雇用環境の改善が続く中で、女性や高齢者等を中心とした労働参加の拡大もあり、雇用者数は増加する(対前年度比0.9%程度の増)。完全失業率はやや低下する(2.3%程度)。(エ)鉱工業生産国内需要や輸出が増加すること等から、増加する(対前年度比2.4%程度の増)。(オ)物価消費者物価(総合)上昇率は景気回復による需給の引き締まりの中で1.1%程度となる。こうした中でGDPデフレーターは上昇する(対前年度比1.1%程度の上昇)。(カ)国際収支海外からの所得の増加等により、経常収支の黒字は増加する(経常収支対名目GDP比3.9%程度)。24 ファイナンス 2019 Feb.特集

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